※「ふぇーんねるー。おはよー」「……来るな」「入るよー」「出てけ」「入ったよー」 その後、時間を見計らって部屋に入ってきたリンデンに、布団に包まるフェンネルは不機嫌そうに眉間に皺を寄せた。 頭まで被り直した布団も意味をなさない程、強く甘辛いソースのような匂いを感じたフェンネルは、舌打ちをしながら布団から顔を覗かせる。「……臭ぇ……」「じゃじゃーん。お肉だよー」 リンデンが嬉しそうに見せ付けてきたのは、盆に乗った唐揚げとハンバーグのプレートだった。 ベッドの向かい側、チェストの脇にあるサイドテーブルを引き寄せた彼は、料理が乗った皿を丁寧に並べていく。 その数、中皿が四枚。大量の料理を目にして、フェンネルは若干の気持ち悪さを感じて胸を撫でた。「……起きてすぐ、食えってか……?」「絶対無理だと思って、サラダとハムエッグのプレートも作って来た! ついでにバターブレッドもセットだよ!」「っせーな……なんでそんなテンション高ぇんだよ……」「フェンネルが起きたから!」「あぁ……? 今、何時だ……」 フェンネルが頭元の時計を確認すると、アナログの針は四時半過ぎを差している。 布団に引き籠もったのは、確か午後二時前だった筈だ。「……二時間半か……寝過ぎたな」 のっそりと起き上がり、目を擦って欠伸を一つ。 腕を上げて背筋を伸ばし、フェンネルは息を長く吐き出した。「本当によく寝てたねー! いつもお疲れ様!」「いい加減うるせぇ、仮眠で大騒ぎしやがっ……」 しかし次の瞬間、フェンネルは窓の外を見て愕然と目を見開く。 見上げた先の窓の外は真っ暗、澄んだ空気に星が明るく輝いている。「……嘘だろ……」 仮眠程度と思っていたら、まさかの明け方起床にフェンネルは思わず頭を抱えた。「……皆、夕飯どうした」「ん? ご飯? 夜はユズさんが作ってくれたよ。ハンバーグお願いした」「エンジンの点検と整備は……」「俺がしました」「弾薬の棚卸しは……?」「それも俺がしました」「……なんで起こさなかったんだよ……」 自分の仕事を放り出して、ここまで寝入ってしまっていたとは。 つい心の声が漏れたフェンネルだったが、リンデンは至極正直に理由を話した。「マリーさんがね、『アイツは寝なさ過ぎだから、今のうち熟睡させとけ』って」 フェンネルは『母』の高
Last Updated : 2026-11-05 Read more