※ 船長の命令や指示を踏まえて、フェンネルは大まかな作戦を二人に説明していく。「ローズは食糧庫からキッチン下へ行け。中に入ったら換気扇を回して、電気が点いて見えるようになってからユズさんに声掛けを始めろ。相手の武装状況が分からない以上、絶対にキッチンから顔は出すなよ」「了解だ」「リンデンはこのまま進んでリビングのハッチ前で待機、そこで目標の位置確認と捕獲準備。ローズの声に相手が気を取られている瞬間を狙え」「フェンネルは?」「整備室のメインヒューズとブレーカーを確認してから監視台に上がる。電気は監視台の非常灯スイッチを入れるが、明るくなってもすぐには動くなよ。ローズの声を合図に捕獲開始だ」「分かった」「可能なら、俺も上から捕獲を狙う。ローズ、捕獲対象の安否は?」「助けられるなら助けたい。リン、フェノン、出来る限り相手は無傷で安全に保護するんだ。いいな」「分かった!」「了解」 頷き合った三人は、『リストベル』と呼ばれる腕時計型端末の画面共有ボタンを同時に押した。 これで経過時間はもちろん、位置情報、通信機能、装着者のバイタル信号も共有される。 リンデンはその場で靴を脱ぎ、足音も無く廊下を奥へと進む。 ローズマリーとフェンネルは二人で踵を返して一度外へ出ると後部ハッチの方へ回り、ローズマリーの掌紋認証で鍵を開けた。 二人は整備室に入ると、フェンネルからハンドライトを受け取ったローズマリーは食料庫へ向かう。 フェンネルは再び外へ出て、監視台へと続く梯子を登り始めた。 リンデンがメインデッキに近付くと、その入口であるハッチは完全には閉まっておらず、少しだけ空いた状態にあった。 フェンネルに言われた通り、中へは入らずにリビングから死角になる位置に待機する。 短剣を抜いて逆手に構えると、目を閉じて感覚を尖らせ、気配を探りながら耳を澄ました。 一人はユズリハ、もう一人は少女の声だろうか。普段と変わらぬ声音で話す彼に、リンデンは心底安心する。 ただ彼は、一緒に居るであろう少女に向けて、何やら説得するような口調で話しかけ続けているようだ。「ほら、俺の仲間が帰ってきました。今のままでは大変な誤解を受けます、早く背中から降りて下さい」「ふん、折角捕まえた所だというに……解放は却下だ。今放せば、またお前は私から逃げ出すだろう?」「貴女が追い
Last Updated : 2026-11-05 Read more