⚠️ この章には大人向けの親密な描写が含まれています。苦手な方はご注意ください。気になる方は読み飛ばしてください。「ナーリッサ」ヴァンスの声は掠れていた。「俺を見て」彼女は振り返った。暗闇の中で、ヴァンスの目だけがはっきりと見える。そこには、普段の冷静さとは違う、激しく強い感情があった。「俺の名前を呼んで」ナーリッサは息を呑んだ。「……ヴァンス」「もう一度」「ヴァンス……」その名前が彼の唇に浮かんだ瞬間、何かが切れた。二人の間に残っていた最後のためらいが、音もなく崩れていく。ヴァンスは彼女を引き寄せた。唇が重なる。最初はゆっくりだった。けれど、それも長くは続かなかった。積み重ねてきた感情が、一気に溢れ出していく。「今夜だけは、俺を見て」耳元で囁かれ、ナーリッサは目を閉じた。もう何も考えたくなかった。ザーンのことも。ジョヴィのことも。この関係が何を意味するのかも。ただ、目の前にいるヴァンスだけを感じていた。二人は何度も唇を重ねた。抱きしめ、離れ、また求める。言葉よりも触れ合うことで、抑え込んできたものを確かめるように。そして、その夜は長く続いた。どれほど時間が経ったのか、ナーリッサには分からなかった。ただ、何度もヴァンスの腕の中に引き寄せられ、そのたびに理性が遠のいていった。彼の声。自分の名前を呼ぶ低い声。耳元で囁かれる言葉。すべてが頭の中を満たしていく。やがて、二人の間に残っていた境界線は、完全に意味を失った。時間さえ曖昧になる。夜が深くなっていくほど、ナーリッサは自分がどこまで来てしまったのか考えることすらできなくなっていった。しばらくして、ヴァンスが彼女の顔を覗き込む。ナーリッサの頬は赤く、髪は乱れていた。彼女自身も、自分がこんな顔をしていることを知らなかった。ヴァンスの視線が彼女を離れない。「綺麗だ」その一言に、ナーリッサの胸が大きく揺れる。彼女は鏡に映った自分を見た。そこにいる女は、いつもの自分とは違っていた。理性的で、冷静で、何でも自分で処理できるナーリッサではない。ただ、一人の女だった。誰かに求められ、誰かを求めている。その事実に戸惑いながらも、彼女は目を逸らせなかった。ヴァンスが後ろから彼女を抱きしめる。耳元で低く囁く。「自分でも、もう隠せないだ
Last Updated : 2026-09-04 Read more