翌朝。「勇樹さん、これ……」香子はスマートフォンを手に、困ったような顔をしていた。画面には、昨日の庭園で撮られた写真が表示されている。二人が手を繋いで歩いているところだった。「……いつの間に撮られたんでしょう」勇樹は画面を覗き込んだ。「昨日のホテルだね」「はい……」写真には、二人の顔まではっきり写っていた。香子は不安そうに唇を噛む。「また、何か言われるのでしょうか」勇樹は投稿を開いた。『今日、来栖勇樹と例の女性見た! めちゃくちゃ仲良さそうだった!』コメントもかなり増えている。『普通にデートじゃん!』『手繋いでる!』『来栖勇樹、めちゃくちゃ彼女のこと好きそう』『あんなことあった後だし、幸せそうでよかった』勇樹は香子に画面を見せた。「……今回は、悪いことばかりじゃなさそうだよ」香子は恐る恐るコメントを読んだ。『彼女、ずっと怖い思いしてたんだよね』『守ってくれる彼氏がいてよかったね』『二人ともお似合い』「……彼氏」香子は思わず呟いた。勇樹が笑う。「違う?」「い、いえ!」慌てて首を振る。「そういうわけでは……」「じゃあ、合ってる?」香子は真っ赤になった。「……勇樹さん、意地悪です」勇樹は楽しそうに笑った。そして、香子の手を取る。「俺は嬉しいけどね」「……何がですか?」「香子と恋人同士だって、みんなに思ってもらえるの」香子は俯いた。けれど、その口元には小さな笑みが浮かんでいた。一方、鷹宮家。「……何よ、これ!」美紗はスマートフォンを握りしめた。画面には、勇樹と香子の写真が表示されている。しかも、コメント欄は二人を祝福する言葉で溢れていた。『こんなに大切にされてるなら安心だね』『来栖勇樹、彼女を見る目が優しい』『美男美女でお似合い』「……ふざけないでよ」美紗は苛立ちながら画面をスクロールした。自分はあんな配信者に家まで押しかけられた。母親には怒鳴られた。それなのに、香子は世界的スターと優雅にホテルでデートしている。しかも、世間から祝福されている。「何で……」美紗は唇を噛んだ。「何で香子ばっかり!」そのとき、久恵が部屋に入ってきた。「美紗、何を騒いでいるの?」「これ見てよ!」美紗はスマートフォンを突きつけた。「香子、また来栖勇樹とデートしてる!」久恵
Last Updated : 2026-10-11 Read more