로그인幼い頃から、継母と妹から壮絶なイジメを受けていた鷹宮香子は、ついに妹から殺されそうになった夜、自分が祖父母の巨額の遺産を受け継ぐ権利を持っていることを知る。そのためにずっと虐げられていたのかと打ちひしがれたその時、彼女に救いの手を差し伸べたのは世界的スター俳優・来栖勇樹だった。 「ずっと君を探していた」 何故、彼のような人が私に…?
더 보기「私だって、絵くらい描けるんだから!」美紗はスマートフォンをテーブルに置いた。久恵は呆れたように顔を上げた。「急に何を言い出すの?」「だって、香子の絵が一万円で売れたんでしょ? 私だって描けば売れるわよ!」「絵なんて、学校を卒業してから描いていないでしょう?」「そんなの関係ないじゃない!」美紗は不機嫌そうに唇を尖らせた。「どうせ勇樹さんのファンが買ったんでしょ。香子の絵だから欲しいわけじゃないんだから」久恵はスマートフォンの画面を覗き込んだ。そこには、勇樹の投稿を引用した記事が表示されていた。『来栖勇樹、恋人の絵画を絶賛。初出品作が即日完売』「……まったく、大げさね」久恵は鼻を鳴らした。「たった一万円の絵が売れただけでしょう?」「そうよ! なのに、みんな香子のことばっかり褒めてるの!」美紗は画面を指さした。『優しい色使いが素敵』『ほかの作品も見たい』『次の作品展が楽しみ』「……何よ、これ!」美紗はスマートフォンを握りしめた。「香子ばっかり、ずるい!」久恵はため息をついた。「そんなに羨ましいなら、あなたも絵を習えばいいじゃない」「……え?」「香子にできることなら、あなたにだってできるでしょう?」美紗は目を輝かせた。「そうよね!」そして、すぐにスマートフォンで絵画教室を検索し始めた。「……あ、ここ! 香子が通ってる学校じゃない?」画面には、青葉美術アカデミーの公式サイトが表示されていた。「私もここに通おうかな」久恵は眉をひそめた。「わざわざ同じ学校に?」「だって、香子より上手な絵を描いてやりたいんだもん!
「……三人も、ですか?」香子は驚いて聞き返した。「はい。皆さん、来栖さんのSNSをご覧になったそうです」受付の女性は嬉しそうに答えた。「作品を購入したいというお問い合わせが、立て続けに入っているんですよ」「……そんな」香子は戸惑いながら勇樹を見た。「勇樹さん、どうしましょう……」「すごいね。香子の絵を欲しいって人がいるんだ」「でも、三人もいらっしゃるなんて……」香子は自分の絵を振り返った。祖父母の庭を思い出しながら描いた『春の庭』。まさか、知らない人が買いたいと言ってくれるとは思わなかった。「……あの、お値段は一万円にしてあるんですけれど」「はい。皆さん、その価格もご存じです」受付の女性が頷いた。「ただ、一点しかありませんので、販売方法について先生に確認してまいりますね」「……よろしくお願いいたします」香子は深く頭を下げた。しばらくして、講師がやってきた。「鷹宮さん、すごい反響ですね」「……私も、驚いてしまって」「今回は先着順で販売することになっていますので、最初にお申し込みくださった方にお譲りする形になります」「……そうなんですね」香子は少しほっとした。「それでしたら、ぜひ、その方に……」「わかりました。お手続きを進めますね」講師は微笑んだ。「初めての出品で、もう購入希望があるなんて素敵ですね」「……ありがとうございます」香子は頬を赤らめた。それからも、勇樹の投稿には次々とコメントが寄せられた。
「……取材?」勇樹はスマートフォンを耳に当てたまま、眉を上げた。『はい。以前から来栖さんを取材している芸能誌の記者さんです。明日のご予定を聞きつけたようで』「どうして知ってるんだろう?」『作品展の案内は一般公開されていますからね。来栖さんが訪問されるという情報も、どこかから伝わったのでしょう』勇樹は少し考えた。「香子の作品展なんだ。俺が目立って、迷惑をかけるのは嫌だな」『では、お断りしましょうか』「うん。そうしてくれる?」『承知しました』電話を切ると、香子が心配そうに尋ねた。「……勇樹さん、取材というのは?」「明日の作品展に、記者さんが来たいんだって」「……えっ!」香子は驚いた。「私の学校に、ですか?」「うん。でも、断っておいたよ」「……そうなんですね」「せっかくの作品展だからね。香子も、ほかの生徒さんたちも、落ち着いて楽しめたほうがいいでしょう?」「……はい」香子はほっとしたように微笑んだ。「ありがとうございます」翌日。青葉美術アカデミーのギャラリーには、たくさんの作品が並んでいた。風景画や人物画、色鮮やかな抽象画。香子は入口に立ち、緊張した面持ちで会場を見渡した。「……こんなに立派な展示会になるんですね」「うん。すごいね」隣に立つ勇樹が微笑んだ。今日は帽子を深くかぶり、目立たない服装をしている。それでも、すれ違う人が何度か振り返っていた。「香子の絵はどこ?」「……こちらです」香子は勇樹を奥の展示スペースへ案内した。壁には、『春の庭
「……私の絵に、お値段をつけるなんて」香子は作品展の案内を見つめた。「なんだか、申し訳ない気がします」勇樹は笑った。「どうして?」「だって、まだ習い始めたばかりですし……。お金をいただけるような絵ではありませんから」「でも、香子が一生懸命描いた絵でしょう?」「……はい」「だったら、欲しいと思う人がいても不思議じゃないよ」香子は少し考えた。確かに、自分も誰かの絵を見て、素敵だと思ったことはある。けれど、自分の絵を買いたいと思う人がいるなんて、想像もできなかった。「……明日、先生に相談してみます」「うん。それがいいね」勇樹は頷いた。翌日の授業。「作品の販売価格ですか?」講師は香子の質問に頷いた。「はい。希望される方には、ご自身で価格を決めていただいています」「……どのくらいが普通なのでしょうか?」「大きさや画材にもよりますが、今回の作品展なら数千円から数万円くらいでしょうか。もちろん、非売品にしても構いませんよ」「そうなんですね……」香子は制作途中のキャンバスを見つめた。黄色い花が、少しずつ形になってきている。「……私、売るつもりで描いていたわけではなくて」「ええ。それでいいんですよ」講師は微笑んだ。「作品展は、まず皆さんに絵を見ていただく機会ですから」「……はい」「価格は完成してから決めても大丈夫ですよ」香子はほっとして頭を下げた。「ありがとうございます」それから一週間。香子は授業のたびに、少しずつ絵を仕上げていった。