「何をするつもりなの」 糀が投稿を開くと、もうコメントが増え始めていた。 《新しいお店ですか?》 《美咲さんのお料理、楽しみ》 さっきまで、ここで出した料理をけなし、一円も払いたくないと言っていた。それなのに今度は、澄乃を自分の店のように紹介している。 前には祖母の店へ勝手に入り、今日は糀の料理を食べ、それでも足りずに、店の名前まで自分のものにするなんて。 どこまで図々しいのだろう。 隣で煌が箸を置いた。差し出した画面を見ると、食べていた時の柔らかさが顔から消えた。 「私が止めます」 「でも、そんな」 「これも約束ですから」 糀は投稿とコメントを保存し、煌へ送った。虚偽のレビューにも動いてくれた人だ。祖母の店を守るために、今はその力を借りようと思った。 煌は車で待つ秘書を電話で呼び戻した。 「この投稿を、店の権利を確認した弁護士へ。削除要請と、今後澄乃の名を使わせないための対応を相談します。私が直接話します」 秘書が電話を取り出しながら、顔を上げた。 「社長ご自身で? こうした案件は、いつも担当にお任せになるのに」 「糀さんが作った料理を、あの女の手柄にされるのは我慢できません」 秘書が何か言いたげに糀を見た。 その視線に気づき、糀は頬が熱くなった。煌は料理のことを言っているだけなのに、秘書には別の意味まで聞こえたのだろうか。 秘書は何も言わず、通話をつないだ。 煌は差し出された電話を取った。 「ええ、その投稿です。店主は使用を認めていません」 糀の目の前で、煌が弁護士への説明を始めた。 迷いもせず、必要な相手を呼び、もう話を進めている。 なんて頼もしいのだろう。 糀は、膝の上で握っていた手をほどいた。一人で美咲の投稿を見ていたら、怒りと悔しさで何も考えられなくなっていたかもしれない。煌が隣にいてくれるから、自分がすべきことを考えられる。 なら、自分は何をしよう。 久我原が提案してくれた、料理と三席の紹介が浮かんだ。自分が黙っている間に、美咲の店だと思う人が増えてしまう。 通話を終えた煌へ、糀はスマートフォンを見せた。 「私も、店のアカウントを作ろうかな」 「それはいいですね」 「ここで誰が料理を作っているのか、私から知らせたいんです」 「ええ。あなたの料理だと分
آخر تحديث : 2026-09-10 اقرأ المزيد