その後、三人は直之の車で病院へ向かった。 倉庫から脱出した直後は平気だと言い張っていた淳だったが、車へ乗り込んでしばらくすると、徐々に顔色が悪くなっていった。「淳?」「……大丈夫です」「全然大丈夫に見えないわよ」「煤を吸っただけです」「それだけじゃないでしょう」 瑠理子が見ると、淳の右腕からまた血が滲んでいた。倉庫の中では暗く、まともに確認できなかったが、ジャケットの袖は広い範囲で破れている。「これ、擦り傷じゃないじゃない!」「少し切っただけです」「少しでこんなに血が出るわけないでしょう!」「お嬢様、声大きいです」「誰のせいよ!」 前の座席から、直之がバックミラー越しに二人を見る。「橘君」「はい」「諦めて病院で診てもらって。瑠理子は君が診察されるまで騒ぎ続けるよ」「……でしょうね」「何、その言い方」 淳がほんの少し笑った。その笑顔を見て、瑠理子はようやく息を吐いた。 笑えるなら大丈夫とそう思いたかったが、病院で診察を受けると、瑠理子の予想より淳の怪我は酷かった。 右腕には深い裂傷があり、数針縫う必要があるという。棚から逃げる際に強く打った肩にも腫れがあり、煙を吸い込んでいたため、しばらく経過観察も必要だった。 一方、瑠理子は膝と掌の擦り傷だけ。「どうして……」 診察室の前で説明を聞いた瑠理子は、唇を噛んだ。倉庫の中では、淳はほとんど痛がらなかった。 自分を不安にさせないようにしていたのだろう。今になってそれに気が付くなんて。「淳のばか……」 小さく呟く。「本当にばかなんだから」「瑠理子」 隣にいた直之が声をかけた。「君も処置し
Last Updated : 2026-10-24 Read more