考えあぐねていると、役員会議室の扉が開いた。中から一郎が出てきた。「瑠理子?」「お父様!」 一郎はとても疲れた顔をしている。「どうしてここに?」「記事を見て……」「心配するな」 一郎は無理に笑った。「私は何もしていない」「信じてる」 瑠理子は即答した。「絶対に信じてるから! お父様はなにもしていないって。お父様はいつだって、どんな時だって、正しいことしかしていないもの!」「瑠理子……」「誰かが仕組んだんでしょう?」「それを今調べているところだ」 父の言葉を聞きながら、瑠理子は、淳の様子が気になって仕方がなかった。 淳は一郎を見ている。 何を考えているのかわからない。 怖い。 前世のように、また彼が父を憎み始めてしまうのではないか、と。 だから必要以上に父を擁護するようなことを言ってしまった。変に思われなかっただろうか。「淳」「……はい」「お父様は、絶対、不正はしてない。信じて欲しい」「俺に信じろって言われても……何も知らないですから」 冷たい言葉に胸が痛む。 けれど、それは当然だった。 淳はまだなにも知らないのだから。「そうね……」「だから、一郎社長が不正をしたとか、父との関連があるとか、決めつけるつもりもないです」「淳……」「調べれば
Last Updated : 2026-10-19 Read more