All Chapters of 前世で私を壊した夫から、二度目の人生では逃げ切りたい ~冷徹な復讐者は私を二度と離さない~: Chapter 51 - Chapter 60

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第五十一話 君が瑠理子をいじめるところ、全部、見てたけど?

  話し始めた女を、百合絵が制する。 「ちょっと!! 余計なこと言わないで!」  その言葉を直之は聞き逃さなかった。「余計なことって?」「……!」「何が余計なんだ?」「それは……」「事実を言われると困るから止めているのか?」「ちがうわ!」 百合絵の額に汗が滲む。「だったら、女に言わせればいい。彼女も本当のことを言いたいから発言してくれたんだろう」 俯いた女を直之が見た。「続けて」  女に視線が集まる。彼女は震えながら話し出す。 「わ、私は……百合絵さんに、瑠理子さんを押さえろって……頼まれました」「嘘よ!!」「嘘じゃない」「あなたが勝手にやったんでしょう!」「ブレスレットをくれるって言ったから、やったのよ!」「だから冗談だって言ってるじゃない!」「でももっと強くしろって!」「言ってない!」「言ったわよ!」「言ってない!!」 とうとう会場の中央で、百合絵と取り巻きたち女たちが互いを罵り始めた。 「私は髪を引っ張ったけど、百合絵さんにもっとやれって言われたの!」「私だって頭を押さえろって!」「布を入れたのは私じゃない! あの人よ!」「ちょっと、私のせいにしないで!」「百合絵さんが全部指示したんじゃない!」 「違う!!」  百合絵が絶叫した。 「全部あんたたちが勝手にやったのよ!!」  しん、と一瞬で会場が静まり返った。 取り巻きたちが、信じられない顔で百合絵を見る。「……百合絵さん」「何よ」
last updateLast Updated : 2026-10-04
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第五十二話 百合絵と結婚するつもりなんかない

 「……でも」 百合絵が、震える唇を開いた。「まだ何かある?」 百合絵の言葉に直之が眉を寄せる。「瑠理子ちゃんは、あなたの婚約者じゃないでしょう!?」 涙を拭いもせず、瑠理子を指差す。 ざわ、と再び会場が揺れた。 百合絵は、そこに最後の救いを見つけたように顔を上げる。「まだ正式に婚約なんてしてないし、御堂家から発表だってされていないでしょう! なにかの間違いよね?」  直之は答えない。「やっぱりそうなんだ! 瑠理子ちゃんが勝手に婚約者を名乗っていたことよね?」 勢いを取り戻した百合絵は、一歩、直之へ近づいた。「私が少し感情的になったのは認めるわ。でも、それはこの子があなたとの関係を誇張して、私を挑発したからなの! だって、私とあなたの仲を引き裂こうとしたのよ!」「……もういい」「ねえ、直之さん?」 縋るように言うが、直之はさらに厳しい表情で百合絵を見た。「もうやめてくれ!」「やめるってなにを……」「……百合絵、瑠理子と僕が婚約をしたって認められないから、彼女にこんなことをしたのか?」「違うわ! 直之さんは瑠理子ちゃんに操られているの!」「何が?」「だって!」 百合絵は必死だった。「あなたはずっと誰とも結婚しようとしなかったのよ!」「それが今回のことになんの関係が?」
last updateLast Updated : 2026-10-04
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第五十三話 百合絵の公開処刑 1

「……違う」百合絵が首を横に振った。「違う……違うわ……」 それでも認めるわけにはいかなかった。 直之に選ばれなかった、その現実だけは受け入れられない。「でも……!」 百合絵が突然顔を上げた。「だったら、この子はどうなのよ!」 指差した先には瑠理子。「私のことよりも、瑠理子ちゃんが泥棒なのは変わらないでしょう!?」 ダイヤのブローチとカメオを直之に見せる。話題転嫁し、なんとか逃れようと必死になった。「ほら!」 百合絵の目に、再び狂気じみた光が宿った。「これは瑠理子ちゃんのバッグから出てきた!」 周囲へ訴える。「みんな見てたでしょう!?」「……確かに」「バッグから出たのは本当よね」「そうよ!」 僅かに同調する声を聞いて、百合絵は息を吹き返した。「直之さん! いくらあなたがこの子を選んだとしても、泥棒と結婚するなんて御堂家が許すはずないわ!」 縋るように彼を見る。「あなたは騙されてるの!」 吠える百合絵に対し、直之が静かに答えた。「僕も、そこは気になった」「でしょう!?」 百合絵の顔が明るくなる。「やっぱり!」「だから調べたよ」 直之はスマートフォンを取り出した。 「……え?」 百合絵の笑顔が止まる。「百合絵」 直之は彼女が持っているカメオを指した。「今、盗まれたと騒いでいるそれ
last updateLast Updated : 2026-10-05
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第五十四話 百合絵の公開処刑 2

「……」「それと」 直之が続ける。「瑠理子のバッグへ近づいた人物を、映像から抽出してもらった」「ちょっと……」 百合絵が一歩後ずさった。「何?」「そんなこと……しなくても」「どうして? 瑠理子が盗んだと主張するなら、映像を見れば君の言っていることが正しいと証明される。何も困らないよね?」「……っ」「それとも」 直之の目が細くなる。「映されたら困るものでもある?」「違うわ!」「なら見よう」  直之がスタッフへ合図した。 「スクリーンに映してください」「はい!」「待って! やめて!!」 百合絵が再び叫んだ。 しかしもう誰も彼女の言葉を聞かなかった。   パッ   会場の大型スクリーンが明るくなる。 数十分前の映像。瑠理子が、令嬢たちに囲まれている。「……」 映像が進む。 その背後で、一人の女が周囲を何度も確認しながら瑠理子のバッグへ近づいた。もちろん瑠理子はバッグを肩から掛けていて、デザイン上、バッグが完全に閉まるものではないため、小さなものくらいなら入れることができる。「……あ」 誰かが声を漏らす。 それもそのはず。手元がアップにされた画像が映っているが、女の手には小さく光る物――ダイヤのブローチだということがわかった。 その手が、もめて気を盗られている隙に瑠理子のバッグのすぐ上で、ダイヤのブローチを投下した。 「……!!」  会場中が息を呑む。  ざわっ…… 「入れた……」「瑠理子さんが
last updateLast Updated : 2026-10-05
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第五十五話 百合絵の公開処刑 4

 その名前が出た瞬間、会場の空気が凍りついた。 百合絵の顔から、すっと血の気が引く。 しかし、次の瞬間には、激しく首を横に振っていた。 「嘘よ!!」  甲高い声が響く。「この女、嘘をついてる!」「嘘じゃありません!」「だったら証拠を出しなさいよッ!」 百合絵が女へ詰め寄る。「私がいつ、そんなこと頼んだの!?」 女の髪の毛を掴む勢いだ。「百合絵」 直之が低く呼ぶ。「黙ってろと言ったのが聴こえなかったのか」「でも!」「彼女に圧をかけるな」「圧なんて……!」「じゃあ、そこで静かに聞いてろ」「……っ」 百合絵の足が止まる。 直之は再び女へ向き直った。「詳しく話して」「……はい」 女は震える手を握り合わせた。「数日前に……百合絵さんから連絡が来たんです」「どんな内容?」「御堂財団のパーティーで、瑠理子さんに少し恥をかかせたいって……」「恥をかかせたい!?」 百合絵が声を上げる。「そんなことは言ってないけど!」 直之が睨む。「黙ってろと言った」「……」 百合絵は口を閉ざす。 女は続けた。「最初は、私もここまでのことになると思ってませんでした」「……」「百合絵さんは、瑠理子さんが直之さんの婚約者だって勘違いしてるから、現実を教えてあげたいって……それで……」「違う!」「百合絵!」 直之の叱責が飛ぶ。百合絵が黙った。「続
last updateLast Updated : 2026-10-06
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第五十八話 百合絵の公開処刑 8

「わ、私は……本物だと思って……」「本物だと思った?」「そうよ!」 百合絵は、ようやく逃げ道を見つけたように声を張った。「私だって騙されたのよ!」「誰に?」「……え?」「誰から渡されたの?」「それは……」「財団職員? ホテル? 御堂家の誰か? 名前を言って」「覚えてないわ!」 百合絵が叫んだ。周囲から小さなどよめきが起こる。「覚えてない?」 直之は信じられないものを見る目をした。「御堂財団主催のパーティーの招待状を誰から受け取ったかも覚えていないのに、確認もせず瑠理子へ送ったのか?」「そうよ!」「へえ」 直之が招待状を見る。「ずいぶん無責任だね」「だって、本物だと思ったんだもの!」「でもおかしくない?」  直之はどんどん自分の揚げ足を取ろうと次々に質問をぶつけてくる。 これはかねてから愛していた直之じゃない。 どうしてこうなったんだろう。 やっぱり瑠理子のせい―― 「君は本物の招待状を使ってこの会場に入ったはずだ。瑠理子へ送ったものと全く違うのに、どうして気が付かなかったんだ? おかしいと思わなかったのか?」「そ、そんなところまで見ていなかったから……」「全然様式も違うのに? そんな注意力でこの先やっていけるの?」 
last updateLast Updated : 2026-10-08
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