「本物の招待状なら普通に会場へ入れてしまうから、わざと偽物を送ったって言ってました。それで受付で止められたところをみんなに見せて、『本当は招待されてないのに勝手に来た女』にするって……」「やめなさい!」「そのあと直之さんとの縁談も嘘だってことにして、それからブローチを――」「やめてって言ってるでしょう!!」 百合絵の絶叫が響いたが、しかしもう遅かった。 直之は怒鳴ることすらせず、冷えきった目で百合絵を見つめていた。「これでも、間違えて送ったと言うのか?」「……」 もうなにも言うことができなかった。「百合絵、もう終わりにしよう」 その言葉が、心を砕いていく。 終わるってどういうこと? なにを? 認めたくない。直之を瑠理子に盗られたくない! どうしたらいいの。 どうしたら止められるの――「偽の招待状を送って瑠理子をここへ呼び出した。受付で恥をかかせ、僕の婚約者を名乗る嘘つきに仕立て、ブローチとカメオを仕込んで窃盗犯にしようとした。さらに大勢を煽って暴力まで振るわせた」 直之は一度、赤く腫れた瑠理子の手へ視線を落とした。 その瞬間、再び激しい怒りが瞳の奥に浮かぶ。「全部、百合絵が仕組んだことだ」「……違う」「まだ言うの?」「違う……違うわよ……」 百合絵は首を横に振った。 けれど、もう自分でも何を否定しているのか分からなかった。
Last Updated : 2026-10-09 Read more