時は少し遡り、海原家――「……何やってんだよ」 自室にいた淳は、スマートフォンから流れる映像を食い入るように見つめていた。御堂財団の慈善パーティーの様子を、何となく気になって配信を開いたのが始まりだった。『床、拭いたら?』「……は? なんだこれ……」 画面の中で、瑠理子のドレスは赤いワインで汚れていた。今日、とても美しい姿に胸を痛めたばかりだ。無残な姿になっていた。 そして現在、大勢の令嬢に囲まれている。『私は何も悪いことしてない!』「瑠理子……」 なぜこんなことになっているのだ?『泥棒!』『あなたのバッグから出てきたじゃない!』「違う 瑠理子は泥棒なんかしない!」 腹が立ち、思わず淳は立ち上がった。『私じゃない!』「分かってる!」 スマートフォンを握る手が震える。『直之さんにだって、本人から来てほしいって言われたの!』 直之のことを聞いて、胸の奥がずきりと痛んだ。 御堂直之 瑠理子が自分ではなく、未来を選ぶために婚約しようとしている男。 本当なら、名前を聞くだけでも面白くない――が。「御堂さん……何やってんだよ」 来てくれ、早く! あんたが行けば、この状況を終わらせられる。 瑠理子は泥棒などしていないし、身の潔白を
Last Updated : 2026-09-29 Read more