บททั้งหมดของ 妖精に転生した私は、年上の摂政殿下にめちゃくちゃ甘やかされる: บทที่ 11 - บทที่ 20

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11.性悪王子

 執務室から内城へ入った途端、ドンっ! と強く背中を押された。  そのまま廊下に激しく倒れ込む。  しかも悪いことに、背中を押されたときに羽も押されたから、悲鳴も上げられないほどの痛みに顔から床にダイブしてしまった。  くそう……痛い。 「——馬鹿なのかお前」  アディノスの緑の目が、私を見下ろしている。ブレイクに比べれば覇気も怖さも遠く及ばないが、どうしてここまで怒っているのかわからない。  その怒りの目に、これまでのナノリアの記憶が走馬灯のように駆け抜けていった。*** ある日、まだ10歳かそれくらいの時、ナノリアはアディノスに湖に落とされた。  上がろうとするのを木剣で頭を押さえられて溺れそうになる。  アディノスの取り巻き数人がナノリアを順番に小突きながら、大笑いしていた。 「ははっ! 実験だ。妖精の羽は、蝶と同じく水をはじくのか!」 「殿下、もっとしっかり沈めなくては! この不潔なところを洗わないと!」 「おう、洗え、もっとそっちを押さえろ!」  そんな風に水に無理やり押し戻され、生臭い水をしこたま飲んで、いよいよ意識が遠のきそうになった頃、よくやく飽きたようにつつくのをやめてくれた。  命からがら岸に上がったナノリアを見下ろして、誰かが声を上げる。 「うわ、羽の粉がおちたら色が変わるんだ」 「ほんとだ。こすってみよう」  とんでもないことを言い出した少年たちに、ナノリアは真っ青になってがたがたと震えた。 「い、いや……いや、や、やめて」 「おい暴れるな。そっち押さえろ」 「はい!」 「殿下、これなんかどうですか」  誰かがブラシを持ってきた。馬を洗う時に使う、固いブラシだった。  両手を抑えられたナノリアは目の前が真っ暗になる。  何とか逃れようと激しく暴れた。渾身の力で何人かを突き飛ばす。 「おい、ナノリア!!」  アディノスが憤怒の表情でナノリアの前に立ちふさがった。  ナノリアはどうしてか、反抗できなかった。アディノスを見ると一気に力が抜けていく。
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12. 出発

 公爵家への出発はあっという間に決まった。 私が思っている以上に、多分ブレイクの権力は巨大だ。 アディノスが何を言おうと、ブレイクが決めたらあっという間に進む。 お金も思い通りにならないようだし。そりゃあ、国政に参加しないぼんくら王子の力なんてないだろう。 部屋に戻った私の頬の擦り傷を見てパウラが心配してくれた。「一体どうしたんですか。また、こけたんですか? ——っは! ま、まさか。摂政殿下に!?」「違う違う。アディノス殿下に突き飛ばされたの」「え……」 この時のパウラの呆けたような顔は見ものだった。 そういえばナノリアはこれまでアディノスにされたことを誰にも言っていなかった。だから人知れず傷を作ってくるナノリアを気味悪く思う人もいた。癇癪で暴れたからだろうって思われていただろう。 ナノリアは愛する人に手をあげられたなんて言いたくないし、アディノスの評判も守りたかったのかもしれないけど。 私はそんなものは知らない。「王子殿下に……?」「そうよ。本当は、これまでもずっと、私の怪我はいつもあいつにやられてたの」 はあ……とパウラは首を振りながら声を漏らした。「王城って、やっぱり怖い所なんですね。横柄な人だなと思ってましたけど、王子が横柄なのは当然なので気にしてませんでしたけど……女に手を上げる男は、最低ですよ」「ど正論ね」「ど……?」 おっと、また変な顔をされた。「あいつはね、最低な王子なのよ」「まったくで……」 だったら何でこれまで追いかけていたのだとか、言いたい事は色々とありそうだけど。パウラはとりあえず私の治療を優先してくれた。 薬は傷にしみて痛かったけど、パウラのお陰で7日もすればほとんどきれいに治った。 そして、出発の日。 ブレイクが自ら部屋まで迎えに来てくれた。
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13.コーンワルドへの道

 用意されていたのは大きくて立派な馬車だった。 そういえば馬車に乗るのは初めてかもしれない。 記憶にある限りは、なかった。「気心の知れたメイドと共に乗るか? 私は馬で——」「殿下と一緒がいいです」 あ、しまった。つい食い気味に答えてしまった。 ブレイクが驚いたように少し目を丸めている。「その……私と一緒では、堅苦しくて落ち着かないかと思ったんだが」「そんなことないです」 ブレイクは自分が恐れられていることを十分自覚しているようだった。何かにつけて、私と一歩以上離れている。 確かに眼光鋭かったり、声も低くてよく通るから存在感が圧倒的だ。周囲の部下らはピリッとしているのが分かる。 でも、私にはいつもものすごく優しい。「こんなおじさんとじゃ——」「いえ!」 おじさんだなんて! それを理由にブレイクの方から距離をとられそうで、私の方が一歩踏み出す。「私、覚えてます。ブレイク殿下に抱っこしてもらった時の事。すごくあったかくて、寝てしまうくらい安心して。——あの時、陛下の死をちゃんと悲しませてくれた優しさも。私の……大切な思い出だから」 ナノリアの中にある、数えるほどしかない良い思い出だ。「そうか、覚えて……」「お邪魔でなければ、一緒に乗りたいです」 泣かせてしまったと思われていたのだったら、そうじゃないって伝えておきたかった。ブレイクの顔を見たらほっとしたようで、伝わったようでよかった。 そして本音を言えば、ブレイクのこの優しい声と顔に癒されたい。アディノスのせいで荒んだ心を浄化したい。 私の切なる願いは聞き入れられた。 しかも、分かったと言って快活な笑顔まで見せていただいた。 ありがとう。ごちそうさまです。  馬車の中ではブレイクと向かい合って座り二人きり。 何を話そうかなと思ったけど、時間
last updateปรับปรุงล่าสุด : 2026-08-25
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14.コーンワルド公爵領

 中継地点の町の宿で1泊したのち、また朝になると出発し、一行がコーンワルドに到着したのは出発翌日の夕方のことだった。 屋敷に近付くにつれて、荘厳な建物に圧倒される。それはもう、城そのものだった。固い岩石を積み上げた石造りの城で、風化した石の色が赤茶けてレンガのように見える。 壁と塔の石造りと、本城の剥き出しになった木骨とが折り重なって、重厚な堅牢さと温かみの絶妙なバランスを醸し出している。 歴史ある古城、そのものだ。「着いたようだ」 馬車が停まりドアが開かれた途端、ふわりと甘い花の香りが広がる。 屋敷の庭園に黄色い花が咲き乱れていた。「わ、いい香り……」 思わず呟くとブレイクが笑いながら手を差し出してくれた。「リーフェルという、妖精が特に好むと言われている花だ」 確かにものすごく惹かれるような香りだ。甘酸っぱいような、もっと近くに行って嗅いでいたいような。「コーンワルドは王国の中でも妖精信仰の深い地域なんだ。その伝統であちこちに植えられている。気に入ったのなら、部屋に飾るようにしよう」 エスコートされて馬車を降りると、目の前にずらりと使用人らが並んでいた。 統率の取れた動きで一斉に頭を下げる集団の、その先に二人。こちらを見てにこやかに歩み寄ってくる。 一目でわかった。 ブレイクの両親だ。琥珀色の瞳はお母様譲りで、印象的な眉と目の形はお父様譲りか。 圧倒される雰囲気と、整った顔。そしてお二人そろって背が高い。 白髪交じりのお父様の方が私の方を見た。初老と言っていいお年だと聞いたけど、背筋も伸びているし、渋くてダンディーなおじい様という雰囲気だ。「初めまして、私はトリスタン・コーンワルド。ブレイクの父だ」「トリスタン様——」 って呼んでいいのかな、とブレイクに聞こうと思ったら、その間にぐいっとお母様が入った。「私は妻のルイーナよ」 そう言ってルイーナは美しく流れるようなお辞儀をした。 思わず見とれてしまう。 圧倒されて当然だ。文句
last updateปรับปรุงล่าสุด : 2026-08-26
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15.部屋とお風呂

 案内されたのはおとぎ話の中に出てきそうな部屋だった。  外から見るとかなり歴史ある建造物に見えるが、中は別世界のように美しく整えられている。  薄桃色の天蓋が揺れるベッドが奥にあり、近くには金細工の脚を持つ小さな丸テーブルが置かれている。窓辺にはレース張りの肘掛け椅子とふわふわのクッション、窓にも繊細な刺繍のカーテンが張られている。壁には花模様の鏡が輝き、星形のランプが部屋全体を優しく照らしている。  ものすごく手の込んだ、豪華で、そしてもちろんしっかり掃除が行き届いた部屋。  パウラが背後からぼそりと話しかけてくる。 「雑巾持ってこなくてよかったですね」 「うん、黙ってて」  荷ほどきする物がなくて暇なんだろう。  パウラは持ち前の性格のおかげか、3人の侍女とも気後れすることもなく普通にやり取りしている。 「荷物はこれだけですか」 「はい」  驚く侍女らに対し、そう応えるだけ。無表情を貫き、何かを言うこともない。  私にはいちいち一言多かったりするのに、余計な事は言わないのよね。私が王城でどんな扱いを受けてたというのも、私自身が以前は癇癪持ちで手がかかったってことも。  気遣いとかするタイプじゃないから、直感的に触れてはいけないと思ってるらしい。  侍女の筆頭はセレナという、ベテランの風格の女性だった。 「妖精の方にお仕えできるなんて、一族中の自慢です」  挨拶の時もそんな風に言われたから、コーンワルドでは確かに妖精というのは、特別な存在のようだ。  本当に、私は羽があるだけなんだけど……。  そして丁寧に部屋の説明を一通りしてくれた。 「ナノリア様、夕食はいかがいたしますか?」 「いかが、とは」 「ダイニングルームで公爵様や大旦那様、大奥様とともにされますか、それとも、お疲れでしたらお部屋までお運びいたします」 「えっと……」  王城ではいつも一人で食べていたけど、基本的にはみんなで食べるのが普通だって聞いたことがある。  それに、訪問した初日から部屋にこもるっていうのは、ちょっと心証が悪い気もする。  行っていいのだろうか。作法も分かっていない余所者の私が。  それこそ家族水入らずだろうし。  そんな私の迷いをセレナはすぐに察知したようだった。
last updateปรับปรุงล่าสุด : 2026-08-27
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16.夕食

 あまりにも気持ちよくて、お風呂にゆっくりと浸かりすぎた。  こうしてお湯を溜めて入ったのは久しぶりで。——ナノリアの体に入る前はそれこそ毎日入っていたけど。それももう、遠い昔のように感じる。  いつの間にか、このナノリアの記憶がもうすっかり自分のもののように感じる。  あの痛みが本当に経験したもののようだ。  すごくつらくて、いたくて……さみしかった。  ——これは厄介だ。  アディノスへの恐怖が本当におそろしいものになってしまったらどうしよう。コーンワルドに来る前は、体は委縮しても、それでも反抗できないほどではなかった。  私もナノリアのようにアディノスへ執着したり……してしまうだろうか。何をしても縋りついて……。  バシャッ!!  そこまで考えて、思い切ってお湯の中に頭をつける。  ——ないない。あんな我儘で未熟者の王子、ひとかけらも魅力を感じない。そこだけはわからないままだ。ナノリアはあの王子のどこがそれほど好きだったのか……。 「ナノリアさま……?」  遠慮がちに頭の上から声が聞こえて、私は顔を出した。 「だ、大丈夫ですか? お風呂がお好きなんですね……でも、そろそろ上がりませんと、のぼせてしまいませんでしょうか」  声を掛けられたのはこれで3回目だ。さすがに、ようやく上がった。  急かす感じじゃなかったから、つい長湯してしまった。  その後もゆったりと肩のマッサージをしてくもらいながら髪を乾かし、整えて、そして極めつけは、用意されていた服。  まるで陽光をそのまま織り込んだような柔らかな黄色。指先で触れると、空気のように軽く、それでいてしっとりと肌に馴染む手触り。  ふわりと広がる裾部分に、ささやかに金糸の刺繍が淡くきらめいている。 「これ……」 「ナノリア様に着ていただくために、大奥様がご準備されたのです」  セレナがそう言ってふわりとドレスを翻らせ、見せてくれた。  なんと、羽の部分は幾重にも重なるカーテンのようになっていて、ちゃんと羽が出せるようになっている。 「コーンワルドでは、黄色は妖精のための色なのです。それで
last updateปรับปรุงล่าสุด : 2026-08-28
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17.コーンワルドの夜

 初めは緊張していたディナーだったけれど、すぐにそれはほぐれた。 「長旅で疲れたでしょうから、今日は軽めに用意したわ」  そうルイーナは気遣いを見せてくれたが、そうは言ってもナノリアにとっては——いや、私にとっても今まで食べたことが無いような豪華な夕食だった。  前菜は新鮮な野菜を使ったスープや燻製肉、少しずつ出てきた料理一つ一つに趣向が凝らされている。  そしてメインはさっぱりとした鶏肉に柑橘系のソースを掛けた料理だった。 「お口に合ったようで良かったわ」  食べられないんじゃないかと心配したけれど、さっぱりした味付けと少しずつの盛り付けで、結局完食してしまった。  食後のお茶を頂きながら、満足そうにルイーナが微笑む。仕草の一つ一つが洗練されて美しい。 「ああ、本当に。こんな可愛い娘が欲しかったのよねえ」 「母上、ご自分の年を考えてください」 「まあ、なんですって!?」  突然始まった親子の言い争いに、思わずびっくりしてカップを落としそうになった。  ルイーナが凄むとすごい迫力だ。——でも、ブレイクは全く動じていない。 「それを言うなら娘ではなく孫でしょう」 「そんなセリフはね、孫の1人や2人作ってから言ってみなさい」 「生憎そんな暇はありませんので」 「忙しぶるんじゃないわよ、人に任せられないだけでしょう」 「まあ、否定はしませんが」 「いつまでも若いと思っていたら大間違いよ。手紙にも書いたでしょう? お父様だっていつまでも元気なわけじゃないのよ」 「そうだ。父上、お体の具合はどうですか」  トリスタンは朗らかに笑みを見せた。 「元々お前ほど強くないから。この春先の季節の風邪をこじらせただけだ」 「最近はましだけど、この間も一晩中咳がひどくて眠れなかったのよ」 「だから部屋を別にしようと言ったのに」 「まああなた。私はそういう事を言ってるんじゃないのよ。ただあなたの体が心配だっていう話をしているのに」  確かに、ルイーナと違ってトリスタンの声は小さいし、体つきも細めで色も白い。  夫婦仲はすこぶるいい
last updateปรับปรุงล่าสุด : 2026-08-29
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18.コーンワルドの朝

 翌朝、爽やかな朝日と鳥の鳴き声で目が覚めた。 普段は固くて小さめのベッドで寝てるせいか、ふかふかで超快適な寝具のはずなのに、かえって体が痛い。 首を回して肩を回して、ぼきぼきと言わせていたら、そっとノックの音がした。「はい」 返事をするとセレナらが入ってくる。「朝の御支度をしてもよろしいでしょうか?」 うわ、呼ばなくても人が来た。しかもすでに用意一式を持っている。「よく眠れましたか?」「はい」 顔を洗って、また驚く。わざわざお湯を用意してくれてる。汲みたての清潔なお湯。 さっぱりして、さて着替えようかなと思って、辺りを見渡す。「昨日の服は——」 脱いでおいた服がそういえばなくなっている。「あちらは昨日のお召し物ですので」 あ、そうか。普通貴族は二日続けて同じ服を着たりしないのか。「あのドレスがお気に召されましたか? 申し訳ありません、洗濯に2日を要するので、すぐには同じものは着ていただけないのですが」 あんな繊細そうな生地を洗うのだからそりゃあ時間も手間もとんでもないことになるだろう。 セレナが案内してくれた先には、小さなドアで小部屋につながっていた。クローゼットだったらしい。 「本日のお召し物はこちらからお選びいただけます」「うわ……ドレスがたくさん……」 小部屋といってもワンルームくらいは優にある。そこに数えきれないほどのドレスと靴と、装飾品色々。「これも、ルイーナ様が」「こちらは公爵様のご指示なんです」「えっ」「もちろん大奥様も準備はされていたのですが、それに加えて直前で指示が出されまして」 直前で……。「あ、そう言えば出発前に私、摂政殿下に、ナノリア様の服の数とか、荷物の数を聞かれました。それでですかね」 そう言って入って来たのはパウラだった。いつものメイド服が公爵家のメイド服に変わっている。 出発前というと、一昨
last updateปรับปรุงล่าสุด : 2026-08-30
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19.腰巾着ポール

 トリスタンとルイーナはそれぞれ自室で食事をしているらしい。 朝食の席には私とブレイクしかいない。 調子が悪いのかと心配になったが、よくあることだと言われ、何となく聞きづらくて聞けなかった。 せめて私がここに来た役目を果たさないと、と思う。 私はそっとカトラリーを置いた。「あの、ブレイク様が言っていた天幕ですが。お屋敷から見えるんでしょうか」 朝、また窓から外を見てみたけど、よくわからなかった。朝もやが僅かに残るだけで、黒い雲もない晴れ渡る青い空だ。「——昔は見えたらしいけど、最近では麓からはあまり見えないんだ。限りなく薄くなった天幕が、垣間見える、それも一部に——といった具合だ。もっと山に登れば見える」「じゃあ、山まで行くんですか?」 身を乗り出す私に対して、ブレイクは優雅にお茶のカップを口に運ぶ。「そんなに急がなくてもいい。まずはゆっくり休んでから」「私は元気ですけど」 あ、でも、ブレイクも忙しいんだった。「——また、ブレイク様の都合のいい時に、一緒に連れて行ってもらえれば」「頼もしいな。こんなに積極的に力になってくれようとするなんて。ありがとう」 そう言いながらブレイクは器用にサラダとハムを食べている。その仕草も優雅だ。 優雅——そう、ブレイクからはあまり必死な様子がない。急ぐ様子がなくて不思議に思う。「私、このために来たんですよね」「ああ。ただ……天幕が一体どういうものなのかもわからないし、自然現象かもしれない。以前も言ったと思うが、あまり気負わずにいてほしい。——君にはここで、少しゆっくりと……何というか、羽を伸ばしてほしいと思っているんだ」 珍しくブレイクが言葉を選ぶように、言い悩んでいる。 羽を伸ばす……どういう意味だろうか。 妖精の力を借りたかったのではなく、私を連れてきたかったとい
last updateปรับปรุงล่าสุด : 2026-08-31
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20.妖精の天幕

 玄関を出ると既に馬車とブレイクが待ち構えていた。「お待たせしました」「今ちょうど準備ができたところだよ。行こうか」 自然なエスコートで馬車に乗り込んで、ブレイクと二人で町はずれに向けて出発した。 さっきポールに遭遇して波立った感情が、一気に穏やかに戻る気がする。 目が合うと優しく微笑まれる。それだけで浄化されるようだった。 途中街の中で馬車を停めて、市場で売っているフルーツや香り袋といったコーンワルドの名産品を紹介してもらって、それも馬車に積んだ。 羽がある私を町の人が不思議そうに見ていくけど、声を掛けられたりも、露骨に避けられたりもなかった。むしろ輝いた目で見られているような気もする。 普通にしていて大丈夫だ、とブレイクは言ったけど。本当に大丈夫みたいだ。 そうやって楽しんで、寄り道しながらだったから街を出る頃にはもう日は高く昇っていた。 元々はちょっと天幕を見に来たはずが、楽しくてつい時間が過ぎるのを忘れた。「ブレイク様、時間は大丈夫なんですか」「仕事なら心配いらない。私も休暇のつもりで帰ってきたから、数日は羽を伸ばすつもりだ」 激務で忙しくしているブレイクが数日仕事を休むとなると……大丈夫なんだろうかと心配になる。 でも本当にゆっくりとしているし、心なしか目の下のクマもなくなって、元気そうだ。 疲れた感じも素敵だったけど、やっぱり健康じゃないと。「休暇は大事ですよね」 うんうんと思って頷いてから、はたと気づく。「あ、私はまあ、ずっと休みみたいなもんですけど」 忙しい人の前で、居候が休暇を語ってしまった。 ブレイクは気にしていない様子だ。「子供は遊ぶことが仕事だろう?」「は、はい……」 うーん。とにかくブレイクにとって私は、子供……なんだよなあ。「そんなわけで私の休暇はしばらく続くから、ナノリアもゆっくりしてほしい」「はい」 めちゃくちゃゆっくりさせていただいている
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