บททั้งหมดของ 妖精に転生した私は、年上の摂政殿下にめちゃくちゃ甘やかされる: บทที่ 21 - บทที่ 30

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21.ピクニック

 景色を見ながらお腹がいっぱいになって、私はそのままシートに横になった。 というのも、まずブレイクが横になって目を閉じたから。 うわあ……睫毛が長い。鼻筋が通って、美男子すぎる。 ずっと見ていたかったけど、視線がうるさいとか思われそうだから、私もごろんと横になって目を閉じた。 花の香り、涼やかな風の心地よさ。「はあ……さいこう」 ふっと隣から笑うような吐息を感じる。「良かった。——ナノリアは、何かやってみたい事というのはないか?」「やってみたいこと……」 何だろう。 私はまだ、ここで目覚めて生活に慣れるのに必死だった。「ナノリア」は、全てアディノスを中心に回っていたから。 瞼を閉じて、遠い記憶を探る。今ではもう、この記憶が私のもののように思い起こされる。『ナノリアの羽はまるでエットワル湖の輝きのようだなあ』 ドローネの優しい声。昔、そう言われたのをふと思い出した。 まだ2つくらいの頃だ。眠くてぐずるナノリアを慣れた手つきで優しく抱き上げて、あやすように揺らす。そうしてようやく微睡むナノリアに、ドローネは優しく語りかけた。『大きくなったら、一緒にヨットに乗りに行こう』 本当にそんな未来があるのだと思った。 ドローネの眼差しは優しかくて、父親のような愛を感じていた。胸の温かさまで覚えている。「陛下が……」 気が付けばポツリと言っていた。「大きくなったら、ヨットに乗せてあげるって……」「ヨットか……」「あ! その、思い出しただけです。ふと、唐突に」「いや、ヨットに適した湖が少し遠いんだ。もう少し暑く——夏にになったら。ナノリアさえ良ければ、一緒に行こう」 今は春。夏まで——いてもいいんだろうか、ここに。まだ昨日来た所だけど、もう既に帰りたくないと思
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22.トリスタンの病

 私があまりにトリスタンの事を気にして、上の空だったからだろうか。「大旦那様にお会いになりますか?」 セレナのその言葉に、正直びっくりした。「そんな! 私は部外者なのに」 侍女である彼女がそう言うって事は、既にルイーナかブレイクが許可しているという事だろう。 ただでさえ余計な客がいる分、仕事が増えて大変だというのに。「ここをナノリア様の家のように思ってほしいと、大旦那様も仰っていましたもの。きっと喜ばれると思います」 私のためもあるけど、トリスタンのためにも、と言っているようだった。 いいんだろうか。「会えるのなら……会いたい」「もちろんです」 あっさりと、トリスタンの部屋に通された。 トリスタンの病はあまりに突然の事だったから、何の準備もできていない——そう聞いたけど、公爵家の使用人に慌てる様子はなかった。皆粛々と仕事をこなしている。 ルイーナがベッドの横でトリスタンの手を握っていた。じっと心配そうに見つめながら汗を拭いている。 その献身的な姿を見た時に、王妃サフィアの事を思い出した。 あの人がナノリアに言った台詞を、今でもはっきりと覚えている。 ——お前が陛下を害したのだろう。疫病神。毒をふりまく蛾の妖精。悪魔。 そんな風に呪いの言葉を浴びせられた。 母のように慕っていたサフィアからの言葉は、胸を深くえぐり、ナノリアを絶望に堕とした。「来てくれたのね」 その言葉にはっとする。 ルイーナは何故か嬉しそうに招き入れてくれた。無理に作った笑顔がさっきのブレイクの顔と重なる。「突然で驚いたでしょう。今ね、やっと発作が落ち着いて。——起きてはいるから、話してあげてくれるかしら」 そう言ってルイーナは自分がいた場所を譲った。 少し離れたところにブレイクがいて水を渡している。 少し休んでは……そういう訳にも……そんな会話を
last updateปรับปรุงล่าสุด : 2026-09-03
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23.日々が過ぎてゆく

 私がトリスタンの命を救った、という噂は翌日には屋敷中に広がっていた。 本当にあの後からトリスタンは劇的に調子が良くなったらしい。 だからその後も、私は毎日トリスタンを訪ねた。 幾度か繰り返し手を握って悪い気を追い出すようにしていたら——トリスタンは数日で元気を取り戻したようだった。 私の方も、初めの時のように眩暈を感じる事もなく、数分手を握るだけで良くなった。 それなのにブレイクは「一日おきにしたらどうだ」とか「もう良くなったんじゃないか? やらなくても……」と心配しっぱなしで、後方で腕組みをしたり落ち着きなく左右に歩き回ったりして見守ってくれていた。 そんなに初日の顔色が悪かったのだろうか。 そして数日後、トリスタンの中から悪い気は一切感じなくなった。「驚いたな。倒れる前より調子がいい」 そう言ってトリスタンは活発に仕事をこなし始めたし、ルイーナは泣いて喜んだ。 そこからは今まで以上に、大変だった。 とにかくお礼をと言ってルイーナが家に連日商人を呼ぼうとしたり、コーンワルドに伝わる家宝を譲ると言って聞かなかったり。 宝物庫やルイーナの衣装部屋に連れまわされて、断るのが大変だった。 私はトリスタンに息を吹きかけただけだ。結果としてたまたまよくなっただけで……そんなに努力してないのに、大きなものを貰うわけにはいかない。 ひたすら恐縮して困っていると、ブレイクがいい加減にしろと止めてくれた。 他にも、一歩部屋を出ると、通りすがりの使用人たちが、これまで以上に、それはもう深々と頭を下げてくるようになった。 下手をしたらその場に膝をついて頭を下げられそうな勢いだ。 声を掛けてくれるほど近しい人たちは、すぐに駆け寄ってきてあれこれと世話を焼こうとしたり、構ってくれて。 15歳どころか、10歳くらいの子供と思われてるんじゃないだろうか。「ナノリア様、今日のおやつは何がよろしいですか?」「まあ、今日も本当にお可愛らしい」「お庭にピンクのバラが咲い
last updateปรับปรุงล่าสุด : 2026-09-04
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24.ブレイクの提案

 やっぱり、いつまでもぶらぶらしてるわけにはいかない。 私はその足でブレイクのいる執務室を訪ねた。彼はトリスタンの病を理由に、王城への帰還を遅らせるという事にしたらしい。 そのため王城からの使者が公爵領とを行き来し、ブレイクが執務室に籠る日も増えた。 突然訪れた私を招き入れて、ブレイクはかけていた眼鏡を机に置いた。「やあ。今日はなにをするんだ?」「あ、外しちゃうんだ」「ん?」「あ、いえ、何でも」 危ない危ない。 ここの所、気が緩みすぎて思った事が口から出ていってしまう。 執務の間の書類作業の時だけ眼鏡をかけているらしい。もっと見ていたかった。 執務室のブレイクはいつもと少し違う雰囲気だ。シャツの袖を少しめくってベルトで留めていて、隆起した腕の筋肉が見える。その大きな手で眼鏡を持つと銀縁の眼鏡が小さく見えるくらいだ。 書類から目を上げた時にきゅっと目を押さえる姿も——いい。 そして部屋の中には不思議な紅茶の香りがする。甘くない、スパイスのような香り。「すまないね、ここには椅子がなくて」 そう言いながらブレイクは私の前に立った。「座るか?」「いえいえ!」 重要な書類の山の前に誘われそうになって慌てて首を振る。「すみません、忙しいのに」「いや、覚悟していたよりずっと楽だ。父が元気になったから、公爵領の仕事は引き続き引き受けてくれているからね」 そう、トリスタンは病床から復活すると、翌日にはもう働き出してしまった。しかもこれまで以上に精力的にあちこち出掛けて行って、とても忙しそうだ。ルイーナもそれに随行している。 コーンワルドの人達は働き者だ。王家との差が激しいな。 ——あと、そう。ここで暇なのは私だけ。「あの……」「ん?」「そろそろ私、天幕の見える、山へ登りたいんです」 あ、またこの顔だ。 私が天幕の話をすると、ブレイクは決まってこういう何とも言え
last updateปรับปรุงล่าสุด : 2026-09-05
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25.山へ

 翌日の朝食後に、ブレイクは私を山へ連れて行ってくれた。 伴ったのはコーンワルドの騎士4名。遠目に見てたけど、かなりの強面の方々だ。コーンワルドの人々の顔って、全体的にちょっと濃い。筋肉の上に強面が乗っかっているから、なかなかの雰囲気だ。 馬車から降りて荷物を持ってくれる上に、後ろと前に2名ずつ歩いてくれている。「ナノリア、怖くないか? もっと離れて——」「いえ! 全然大丈夫です」 何となく物珍しくて、まじまじと見すぎたようだ。ブレイクが気遣ってくれるので申し訳なくなって慌てて否定した。「あの方たちが守ってくれるって思うと、心強いです」「そうか? 一応、比較的顔の怖くない奴らを選んだつもりなんだが」「えっあれで?」「ふっ……」 あ、しまった。声に出てしまっていた。 顔というより、筋肉の上に強面が乗っかってるから……。「城の近衛らは、身ぎれいにするのも仕事の内のように言われているが……コーンワルドは、肉体を貴ぶ気風があってね。あまり身だしなみに気を遣ったりしないんだ」「なるほど……それであの筋肉の露出」 騎士なのに、二の腕をめくってしまっているのだ。田舎のおじちゃんみたいな格好だ。騎士なのに。 筋肉が付くと体温が上がるって言うから暑いのかな。「だから田舎者と言われるんだ」「田舎者……王都の人間には、あの二の腕が眩しいんですかね」「ははっ!!」 ブレイクが声を上げて笑った。前を歩く二人の騎士の肩も震えてるから、笑われてるみたいだ。 楽しそうで何より……そんなに変な事を言ったかな。  休憩を挟みながら、少しずつ山を登る。 幸いそれほど険しくはなくて、道も整備されている。 妖精の天幕に続く山道はいくつもあって、そのうちの一番緩やかな山を選んでくれたらしい。 運動不足のこの体にはきついけ
last updateปรับปรุงล่าสุด : 2026-09-06
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26.天幕の綻び

 見続けていると、天幕がひらりと翻った瞬間、黒い空に変わる時があった。 はっとしてさらに目を凝らす。「ナノリア?」「あそこ……」「ああ、綻びだな」 黒い空を指さしたが、ブレイクはそれを天膜の綻びと言った。「布地が一部破れたように見えるところもあれば、擦り切れて薄くなったようなところもある。ここは中でも比較的綻びの少ない所なんだが、あっちの方はかなり天幕が減っている」 ブレイクは遠くの山の峰を指さした。 天幕の綻びを見に来たはずが、一番ましな山頂に案内されていたらしい。 それでも、同じ高さになると向こうの黒いもやも良く見えた。「ブレイク様には、黒いもやは見えませんか?」「黒い……以前言っていたものか。私には天幕の切れ間がのぞいても、青空が広がっているが」 ブレイクは4人の騎士にも視線をやるが、皆一様に頷くばかりだった。 手を伸ばして届く距離ではないけれど、あの黒いところにもう少し近づいてみたい……。 数歩足を動かした、その時。「その先に行ってはならない」 空気がひやりと震えた。 声のする方を見れば、影がひとつ、木の陰からすっと動く。 その姿を確認するよりも早く、瞬間、金属が擦れる音が一斉に響いた。 四人の騎士が反射的に剣を抜き、前へと滑り込んできた。 ブレイクも迷いなく私の肩を後ろへ押しやり、半歩前に出る。 普段の穏やかな空気がすっと消え、獣のような鋭さに変わっている。 うわあ……。 不謹慎にも、かっこいいと思って震えてしまった。「大丈夫だ、下がっていなさい」 身震いをどう受け取られたのか、とても気遣われている。違うんです。貴方達がかっこよくて——て、そうじゃなくて。 今の声、聞き覚えがあった。でも筋肉の壁に阻まれて、一切前が見えないのだ。「あの、ブレイク様、ただの先客じゃ——」
last updateปรับปรุงล่าสุด : 2026-09-07
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28.ここにいたい

 アウルラディスと別れ、私達は揃って山を降りた。 山の麓から馬車に乗って屋敷に向かう。「疲れただろう」 ブレイクが私の顔を見てそう言う。彼の方はまったく疲労の色が見えない。荷物をもって山を登って降りているのに、余裕そうだ。 確かに足は痛いし、体力も尽きて今すぐ横になりたいくらいだ。 何より色々な事があって。泣いちゃったりもしたし……。「はい」 私は素直に頷いた。「屋敷まで少しあるから、眠ったらどうだ」 ブレイクは自分の横にあったクッションを私の横に置いてくれる。私のところにあったのと合わせて4つ。積み上がって、ふかふかの寝床みたいになる。「帰ったら、お湯にゆっくり使って、明日はいつまでも眠っているといい」 ここにもたれかかると本当にすぐ眠ってしまいそうだ。「天幕の綻び……もしかかして、他の領地でも起きるんでしょうか」「ああ……それは、私も気になっていた。今はまだそういう報告もないが、特に調べたわけでもないからな」 各領地の統治は、基本的には領主である貴族の采配に任せている。領内の事で国の助けを借りたいときには王家へ陳情がなされるが、それも王家との関係性によるだろう。「だったら、トリスタン様のような病の人が出てくるかもしれないって事ですよね」「少し積極的に調べるか……」 ぼそりとブレイクが呟いた。 摂政の立場として言っているんだろうか。 借り物の国政を、きっちり回すって並大抵じゃないだろうなと思う。そりゃ、公爵ってだけでそういう事は役割の内なんだろうけど。 やる気出るもんなのかな。私にはよくわからない。「——まあ、余り気負いすぎないでくれ」 黙って考えていた私をどう思ったのか、ブレイクが気遣うように言ってくれる。「我が国は、元々が恵まれすぎていたんだ。病が少なく、他国に攻められる事もなく。気候にも恵まれて、繁栄を続けてきた」 陸続きなのにこの国だ
last updateปรับปรุงล่าสุด : 2026-09-08
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29.リーフェルの花

 コーンワルドでの生活は自然と共に過ぎて行った。 アウルラディスに言われたから、ブレイクが色々と配慮してくれてるのかもしれない。 もともと、蔦に覆われた古城のようなこのコーンワルドの屋敷は自然にあふれている。 窓を開けるだけで、風が通ってどこか森の香りがする。 朝は鳥の声で目が覚めて、昼は庭の光が部屋に差し込み、夜は遠くの山の影が窓に映る。 アウルラディスの言葉もあったし、私は庭に出て、風を感じたり、花を眺めたりする時間が増えた。庭のあちこちに休憩所が置かれ、庭師の数が増えた気がする。屋敷の中にも緑が増えた。 そして、部屋にはいつも、リーフェルの花が飾られた。 ——いい香り。「ナノリアに良いと聞いたから」 そう言って、ブレイクが毎晩、その日の分のリーフェルの花を摘んで持ってきてくれる。 不思議と私の部屋に飾っている花は持ちが良くて、なかなかしおれないので……部屋はまるで祭壇のように花であふれるようになった。 そろそろ、一旦止めてもらおうかな。でも……。 黄色い花が壁際に、棚に、窓辺に、机に、ベッドの横にまで飾られ、ふわりと甘い香りが満ちている。 光を受けて淡く揺れる花弁は、見ているだけで胸がぽうっと温かくなる。 日が経った花には花のよさがあるし、新しい花には新鮮な香りがあって、どっちも捨てがたい。 コンコン——。 この時間の来訪にもすっかり慣れた。 ブレイクが花を持ってきてくれる時間だ。 私は急いで駆け寄って、ドアを開けた。「……ブレイク様……!」 さっき夕食で会ったばかりだったけど、一日に何度でも、その姿を見るだけで胸がほっこり温かくなる。特に夕食後のブレイクは、いつもより気が緩んでいるのか表情が柔らかくて。着崩したシャツの胸元も、かすかに香るお酒の香りも、近寄り難いくらいの大人の魅力がある。 もっとずっと一緒にいたいって、思ってしまう。「&
last updateปรับปรุงล่าสุด : 2026-09-09
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30.恥ずかしい

 ベッドに潜り込んだまま、私はいっそ寝てしまおうと目を閉じたけど。 たっぷり寝た後で、再度眠れるわけもない。 顔から火が出そうで、しばらく動けそうにないけど。朝食の時間は迫って来ていた。 廊下の向こうでセレナらの声もする。「リーフェルの量を……減らした方が……」「でも……ナノリア様が気に入っておられますもの……」「しかし昨夜の様子を見るに……」「体への影響は……」 何やら困ったように相談しながら、準備してくれてるらしい。 昨日の私の醜態を見ていたらしい。 ——見られてたんだ。 そりゃそうか、ブレイクはいつも私の部屋に入る時、ドアを開けているし。私が眠ってしまったのなら、あの後セレナを呼んだんだろう。 あの後……。 布団の中でさらに悶えた。 しばらくすると、控えめなノックがする。「ナノリア様……起きておられますか?」 セレナの声だ。 私は顔だけ出して返事をした。「……はい」 そっとドアが開かれる。「その……お加減は……?」「昨日の事、覚えてらっしゃいますか」 口々に言われて、私はベッドから出た。 心配かけちゃったかな。「ナノリア様」 こそ、と枕元にパウラが来る。 身支度はセレナらに頼むけど、部屋の片づけはパウラが担当してるから基本的には一緒に来る。 普通下級メイドは顔を出さずに裏方に回るものだから、見知った顔がある方がいいだろうっていう配慮だと思う。 見ればパウラはなぜか清々しい顔をして、またぐっと親指を立てていた。「私はいいと思いますよ。あの王子様よりこっちの方が」 パウラ&hel
last updateปรับปรุงล่าสุด : 2026-09-10
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31.不穏な影

 そうしてまた平和なコーンワルドの生活が続き、季節はすっかり夏を過ぎた。 アウルラディスの言った通り、天幕の綻びに少し改善の兆しが見えた。わずかな変化だったけれど、コーンワルドの皆は歓喜に湧いた。 山頂での事や、私がここに滞在すれば綻びが修復される——という事は伏せていたけれど、妖精がやってきて天幕が再生したから、やっぱり皆私のおかげと思っているようで。以前にも増して大事にしてもらっている。 私のコーンワルド生活もすっかりなじんで、時々町に遊びに行ったり、週末にはブレイクがあちこち連れて行ってくれるようになった。 忙しい摂政殿下なのに、と思ったら、以前から色々準備をして、公爵領に帰ってこれるようにしていたから——って。詳しいことはわからないけど、アディノスが国王になるためにも、自分は早く王城を出た方がいいと思っているようだった。相変わらず執務はしているようだけど、まだしばらくは王城に帰らないと言っていた。 ヨットにも乗りに連れて行ってくれたし、魚釣りも、乗馬も、川遊びも。 ちょっと……いやだいぶ、本当に親子のような立ち位置になってしまっている気はするけど。 ——いいの、幸せだから。今はそれで。*** 夜の屋敷は静かで、秋になって私は部屋の窓を開けて眠るようになった。 庭の木々は風に揺れ、葉が擦れる音が遠くでさざめいている。虫の音も風の音も、それを聞きながら眠るとよく眠れるし、体の調子がよかった。 リーフェルの花は温室で咲いている分だけになるから、毎日1輪ずつ。相変わらずブレイクが届けてくれる。 それを枕元に置いて私は眠りにつくようになった。「自分で取りに行くので、毎日来てもらうのは申し訳ないです」 そう言った私に、ブレイクは言った。「私の楽しみなんだ。この花を摘んでここに来るまでの間、ナノリアが喜ぶ顔を想像して。嫌でないなら続けさせてくれ」 そう言ってすっかり慣れた手つきで枕元に花を足す。「——また少し輝きを増したようだ」
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