第11話 王妃になんて、まだなりません「王妃になんて、まだなりません」その言葉を口にした瞬間、大広間の空気が凍りついたように静かになった。朝から王城へ押しかけてきた竜族古老会の面々は、皆、揃いも揃って百年以上は生きているらしく、人間で言えば六十代から八十代ほどに見える者たちばかりだった。銀色の角を持つ者、深紅の鱗を頬へ残す者、翼を畳んだまま椅子へ座っている者、その姿はそれぞれ違うものの、全員に共通しているのは「自分たちは長く竜族を支えてきた」という揺るぎない自負だった。そして今、その自負の塊のような古老たちが、一斉にミオを見ている。歓迎の目ではない。露骨な敵意とも違う。もっと厄介な、「なぜ当然のことを理解しないのか」という困惑と苛立ちが混じった視線だった。「ミオ」隣に座るカエルが低い声で呼んだ。「何ですか」「私が話す」「駄目です」「だが」「私の話でしょう」「古老会は面倒だ」「それはもう十分分かりました。でも、私が黙っていて、カエルが全部追い返したら、結局また私の意思がどこにもないことになります」カエルは少しだけ眉を寄せた。反論したいのだろう。しかし昨夜、「自分で選びたい」とミオが言ったことを覚えているらしく、結局口を閉じた。そのやり取りを見て、正面に座っていた老女が鼻を鳴らした。「陛下が人間の女に言い負かされる日が来るとは、長生きもしてみるものですな」「言い負かされたのではない」カエルがすぐ反応する。「では何です?」「……話を聞いている」「世間ではそれを折れたと言うのです」「黙れ、セラ」
آخر تحديث : 2026-09-04 اقرأ المزيد