All Chapters of 『追放された聖女と呪われた竜王の契約結婚』: Chapter 41 - Chapter 50

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第40話 私が召喚された日、初代聖女は目を開けた

翌朝、ミオが封鎖書庫へ向かうと、昨夜ザラが話していた神官日誌の写本は、すでに机の中央へ置かれていた。古びた革表紙の冊子そのものは人間王国から持ち出された原本ではなく、およそ百二十年前にヴァルディアの研究者が交易都市で入手し、内容を書き写したものだという。つまり、それだけでも一段階以上の不確かさがあるうえ、元になった日誌が本当に人間神殿の神官によって書かれたものなのかという問題まで残っている。それでも、三年前のミオ召喚日に当たる記述が存在する以上、無視するわけにはいかなかった。「最初に言っておくけど、題名みたいに『初代聖女が目を開けた』と決めつけるのは禁止だからね」ミオが椅子へ座るより先に、ザラが釘を刺した。「私、まだ何も言ってませんよ」「顔に書いてあるのよ。昨日からずっと『もしかして棺の中でアリサが目を覚ましたのでは』って考えてるでしょう」「……少しくらいは考えますよ。『白き眠り、三息のみ開眼』なんて書いてあったら、普通そう思うじゃないですか」「普通にそう思うからこそ危ないの。古い宗教文書では、祭具が起動したことを『目覚める』と呼んだり、封印の監視術式が反応したことを『目を開く』と表現したりする。ましてこれは原本ではなく写本よ」向かい側に座っていたカエルも、珍しくザラに同意するように頷いた。「私も、今日は先に断定しないと決めている」ミオは少し驚いて彼を見る。「カエルまでそんなことを言うようになったんですね」「最近、私が何か言うたびにザラから『証拠は?』と聞かれる」「学習したのね」「うるさい」ザラは平然と返し、日誌の写本を開いた。書庫にはほかにアルクとセバンがいる。全員が揃っているのは、この一冊に何か決定的な真実が書かれていると期待しているからではなく、逆に、一つの曖昧な文章を誰か一人の解釈で決めないためだった。「この日誌を書いたとされるのは、当時の中央神殿で祭具管理を担当していた下級神官。名前はエドラス・セルン。ただし、この人物が本当に存在したかについては、人間王国側の名簿を確認できていない」「日記には、私の召喚について書かれているんですか?」「直接『相沢美緒』とは書いてないわ。そこも大事」ザラは該当箇所へ指を置いた。「日付は、王宮側の記録であなたが召喚された日と一致する。そして本文は、こう始まってる」ザラがゆっくり読
last updateLast Updated : 2026-09-22
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第47話 ミーナのお父さんに、判決の日が近づきました

ベルク・ハーゼンから届いた手紙を読んだ翌朝、ミオは人間王国の戦闘聖女リリアに伝えるべき「名前」について考えながら朝食を取っていたが、その日の予定は交易団襲撃事件の調査ではなかった。ベルクとの面会は二日後に決まっている。本人からも、事件当時の名簿や仲間たちの記録を整理してから話したいという希望が出ていたため、こちらから急かすことはしなかった。代わりに今日、王城では別の問題について重要な話し合いが行われる。ラシュ・フェインの処遇だった。北塔への侵入を助け、人間神殿側へ王城の保安情報を渡し、娘ミーナを連れて旧地下宮殿へ逃走した男。一方で、彼は最初からヴァルディアを害する目的で裏切ったわけではない。病に苦しむ娘へ与えられていた薬を人質同然に使われ、人間神殿側から「協力しなければ薬を渡さない」と追い詰められていたことも、すでに複数の証拠と本人の供述によって確認されている。罪はある。事情もある。そして、その二つを一つにまとめて簡単な答えを出すことはできない。ミオが朝食を終えたところへ、リュナが訪ねてきた。いつもの侍女服を着ているが、表
last updateLast Updated : 2026-09-24
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第48話 白霧峡谷へ行く前に、私は帰る理由を書き出しました

「最初に確認させてくれ。あんたは、あの白い炎の聖女を許したいのか。それとも、真実を知りたいのか」王城の小さな応接室へ入った直後、ベルク・ハーゼンは挨拶らしい挨拶もせず、ミオへそう尋ねた。四十代後半の狼獣人であるベルクは、想像していたより大柄だった。灰褐色の髪には白いものが混じり、右脚を少し引きずっている。座っていても分かるほど肩幅が広く、かつて交易団の護衛副長だったという話にも納得できる体格だったが、その顔に荒々しさはなかった。ただ、ひどく疲れた目をしている。三年前の事件から今まで、忘れようとしても忘れられないものを抱えてきた人の目だと、ミオには感じられた。部屋にはアルクが同席し、記録係が一人、壁際に座っている。カエルは約束どおり隣室に控えており、ベルク本人から求められない限り入ってこないことになっていた。ミオは椅子へ腰を下ろしてから、質問への答えを急がず考えた。「真実を知りたいです」ベルクの耳がわずかに動いた。「許すためじゃないのか」「許すかどうかを決めるためだけでもありません。リリアさんが何をしたのかも、あなたたちに何が起
last updateLast Updated : 2026-09-24
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