「次に開いたら、私はもう選べなくなる」七百年前、初代聖女アリサが残したとされるその一文は、翌日の朝になってもミオの頭から離れなかった。帰還門は一度しか開かないのかもしれない。二度目の開門を拒んだ理由も、三度目を試さなかった理由も、まだ本当のところは分からない。それでも、白霧峡谷へ急いで向かい、その場の勢いで門を起動させるようなことだけは絶対にしないと決められたのは大きかった。知らなければならないことは、まだ多い。だから調べる。ただし、答えが出るまで人生の全部を止める必要はない。そのことを、ミオは最近ようやく理解し始めていた。朝食を終えたあと、ミオが自室へ戻って『ミオの食卓』の仕入れ予定を確認していると、扉が二度叩かれた。「どうぞ」入ってきたのはカエルだった。今日は珍しく、手に小さな革の手帳を持っている。ミオには見覚えがあった。最初の休業日に二人で王都を歩いたとき、カエルが雑貨店で買ったものだ。「君と行きたい場所を書く」と言い張っていた、あの
Terakhir Diperbarui : 2026-09-25 Baca selengkapnya