『相沢美緒様。三年前、祭司長は召喚直後、私たちにこう言いました。「我々があの娘を選んだのではない。選ばれた座標へ、こちらから手を伸ばしただけだ」と。』エレナ・ロスティアから届いた二通目の手紙を、ミオはそこで一度机へ置いた。意味が分からなかったわけではない。むしろ、意味が分かりそうだからこそ、すぐ続きを読みたくなかった。これまでミオたちは、人間神殿が召喚対象として相沢美緒を選び、日本にいた彼女へ向けて術式を発動したのだと考えてきた。実際、発見された古い文書には、はっきりとこう書かれていた。『対象・相沢美緒。世界境界適合率九十二。聖卓発現可能性、極高。』さらに、その後の人生まで計画されていたかのような記録もあった。王太子との婚姻関係を作ること。三年間、人間社会へ定着させること。その後、拒絶と追放によって人間側との結びつきを断ち、北方へ誘導すること。竜王と接触させること。
Last Updated : 2026-09-28 Read more