大学入試で、彼女の点数は智也より10点低かった。智也は帝北大学へ進み、彼女は遠く南にある青陵大学へ行くしかなかった。大学の4年間、まとまった休みは20回もあったが、智也は一度も会いに来なかった。会いに来てほしいと頼んでも、遠すぎると言われた。移動に8時間もかけるくらいなら、実験をいくつもこなせるとも言っていた。紬が自分から会いに行くと言っても、まだ学生なのだから、恋愛にばかり時間を費やすべきではないとたしなめられた。この4年間さえ乗り切れば、ずっと一緒にいられるとも言っていた。では、智也はこの4年間、休みのたびに誰に会いに行っていたのだろう。紬の頭に、南陵大学へ通う親友、松井菜月(まつい なつき)の姿が浮かんだ。そんなはずはない。紬と智也は高校時代から付き合っていた。二人は愛し合っていた。紬には一度も会いに来なかった智也が、菜月のもとへ通っていたはずなどない。紬はキャリーケースを引き、うつむいたまま帝北大学をあとにした。南陵大学までの切符を買い、自分の目で確かめることにした。出発する際、智也にLINEを送った。【智也、今何してるの?】【疲れたし、ちょっと眠い。少し寝たいから、またあとで連絡する】続いて、菜月にもLINEを送った。【菜月、今何してるの?】【友達が遊びに来てるの。これから一緒に買い物して、ご飯を食べに行くところ!】【その友達って男の子?もしかして、彼氏ができたの?】【当ててみて】返ってきたのは短い言葉だけだったが、紬の手はすでに震え始めていた。菜月の恋人が、自分の恋人である智也なのではないか。それが怖くてたまらなかった。紬が南陵大学に着いた頃には、すでに日が暮れていた。菜月の学生寮の前まで行き、電話をかけようとスマホを取り出したとき、見覚えのある人影が建物から勢いよく飛び出してきた。そのまま、待っていた男子学生の胸に飛び込んだ。「ずいぶん待ったでしょ?寮の管理人さんには外泊するって言ってきたから、今夜は戻らないよ!」男子学生は鞄からハンディファンを取り出し、女の子に風を送った。「ホテルは予約してある。暑くない?ほら、冷たいマキアート。好きだろ?さっき買ってきた」女の子は彼の腕に抱きつき、甘えた声を出した。「もう、智也って最高。大好き
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