翌日――。「お前の母親について、調べようと思っている」 夕食後に朔が切り出すと、麗香の表情が変わった。「お母様を……?」「ああ。お前の真の父親についてもだ」 麗香は何も言わなかった。「知りたいか」「……」「お前が望まないなら、調べない」 麗香が驚いたように朔を見る。 やがて、胸元で重ねていた指へ視線を落とした。「……怖くない、と申し上げれば嘘になります」「ああ」「けれど」 ゆっくりと顔を上げる。「知りたいです」 その声に、迷いは残っていた。 それでも麗香は、はっきりと言った。「私が誰の娘なのか。お母様が、なぜ何もお話しにならなかったのか」「分かった」 朔は頷いた。◇ 御影家の書斎で話を聞き終えた清雅は、椅子の背へ身体を預けた。「人探しは外務省の仕事ではないんだけれどね」「お前は顔が広い」「便利屋扱いされている気がするなあ」 口ではそう言いながら、清雅は既に持参した手帳を開いている。 朔は自分の作戦を告げた。「桐生家へ正式に記録を求める」「素直に出してくれるかな」「出さないなら、それも手掛かりになる」 清雅が口元を上げる。「なるほど」「それとは別に、お前の方でも調べてくれ」「分かったよ。戸籍だけでなく、華族関係の記録も当たってみよう」 清雅は手帳へ何かを書きつけながら、ふと顔を上げた。「ところで、離縁はしないんだね?」「しない」 即答すると、清雅が目を瞬き、そして笑った。「何だ」「いや。以前より答えが早くなったと思って」「何の話だ」「運命の番と麗香さん。どち
Última actualización : 2026-09-25 Leer más