真帆は次の画像をタップした。 それも、古いフィルム写真をスマホで撮り直した画像だった。 観覧車の前での一枚。 悠人がその少女をたかだかと抱き上げ、沙耶が横で笑っている。 次はレストランでの一枚。 誕生日ケーキを前に、三人が肩を寄せ合っている。 真帆の背筋を、耐えがたい寒気が駆け抜けた。 これらの古い写真の場所、構図、立ち位置、子どもの服、髪留め――。 それらはすべて、先ほど真帆が目にした、この二年余りの間に撮られた「悠人・沙耶・七海」の写真と、寸分違わず一致していたのだ。 その並びの最後に、ほかとは少し違う一枚があった。古い写真館らしい室内。革張りのソファの中央に少女が腰掛け、膝の前で両手を重ね、少しだけ首を左へ傾けている。右には悠人、左には沙耶。行楽地の写真よりも改まった、きちんとした家族写真だった。◇ 水族館の大水槽。観覧車の前。レストランのケーキ。 現在の写真と、古い写真。 二つの時代に撮られた写真が、まるで同じ型抜きで作られたかのように、完璧に重なり合っていた。 ただ、中央にいる子どもだけが違っている。 現在は、七海。 過去は、真帆の知らない、あの女の子。 真帆には、沙耶がただ悠人と関係を持ち、七海を手なずけて家庭を奪おうとしているだけではないように思えた。 あの子と同じ服を、なぜ七海に着せるのか。なぜ同じ場所で写真を撮るのか。 七海を見る目で、別の子どもを見ているのではないか。 そう考えた瞬間、真帆の胃の奥が冷たく縮んだ。 真帆の胸の奥で、ドクン、ドクンと激しい心拍音が響いた。 恐ろしい。 不倫の裏切りに対する怒りを超えて、人間が持つ執着と狂気の深さに、喉の奥がカラカラに乾いていく。 あの女は、何をしようとしているのか。 写真の中の少女は、今どこにいるのか。なぜ、新しい写真には七海が立っているのか。 引き出しの絵本にあった一行が、脳裏に浮かんだ。 『八歳のお誕生日まで、あと少し』 真帆は震える指先で、さきほど見た写真館の画像をもう一度呼び出し、画面を極限まで拡大した。 古い写真の台紙、右下の白い余白の部分。 そこには、年月の経過で少し色褪せた黒い油性ペンの文字で、古い日付とともに手書きのメモが残されていた。 光の反射を避けるように、画面の
Última atualização : 2026-09-08 Ler mais