チャーリーがメインステージへと歩み出ると、盛大な拍手の轟音がボールルームの隅々まで響き渡った。きらめくクリスタルライトの照明に照らされながら、男は三十億相当の古代翡翠のネックレスが入った黒いベルベットの箱を受け取った。VIP席では、エレナは一度たりとも拍手をしなかった。その視線は固くチャーリーに注がれ、彼の些細な仕草一つひとつを見逃さないように追っていた。マスクをつけた男はマイクの前で一言も発しなかった。ただ、招待客たちに対するごく短く、気品のある敬意を示すように軽く頭を下げると、そのままステージを降りていった。「ヴェイン氏、どうやら俺に喧嘩を売り始めたようだな」その光景を見たウィリアムは、面白くなさそうに心の中で呟いた。チャーリーは時間を無駄にすることなく、大股でホールの出口へ向かった。その後を、ステヴァニの後ろの席から素早く立ち上がったレイが追っていく。マスクをつけた男の背中が二重扉の向こうへゆっくりと消えていくのを見たエレナは、もうじっと座っていることができなかった。彼女の魂を焼き尽くすような好奇心が、これまで保っていた理性と冷静さをすべて上回った。あまりにも強い本能に突き動かされ、エレナは周囲の人々の怪訝そうな視線も無視して席を立ち、VIP専用の廊下を足早に進んでいった。メインホールを出ると、エレナの目に、少し人気のない廊下をアシスタントと並んで歩く男の姿が飛び込んできた。エレナの足がぴたりと止まった。彼女はその場に立ち尽くし、目の前にある広い背中をまっすぐ見つめた。その体格、背筋の伸びた、それでいて穏やかな歩き方……。その背中は、これまで彼女の思考と夢を幾度となく悩ませてきた元夫、チャーリー・ヴェインの背中とあまりにもよく似ていた。これ以上ためらうことなく、エレナは背筋を伸ばし、感情を抑えきれず震える声で呼びかけた。「ヴェインさん、少しお待ちください!」その瞬間、チャーリーとレイの足が同時に止まった。チャーリーはその場で凍りついた。心臓が激しく鼓動し、胸を内側から叩きつけるような息苦しさを覚える。ゆっくりと身体を回し、その声の主へと振り返った。三メートルにも満たない距離で、二人の視線が真正面からぶつかった。これほど長い時間を経て初めて、チャーリーはかつての妻の姿を、目の前ではっきりと現実のものとして見ることができた。ただの幻や過去の
Última atualização : 2026-09-17 Ler mais