「涼介、今日は帰って」「え。なんで」お風呂から上がって身支度を整えた後、私は涼介のゲームの手を止めさせようとした。不機嫌になったけど、私がいつもと雰囲気が違うことに気付いて渋々ゲームを止めた。「何で帰んなきゃいけないんだよ。折角来てやってるのに」「頼んでない」「あ?」「ここは私の家。この部屋の家賃も、光熱費も食費も全部、ぜーんぶ!私が払ってるの!」「何だよ金かよ」だるそうにテーブルの上の財布から万札を1枚抜き取って私に差し出す。「これで文句ねえだろ」ぜんっぜん足りないけどね⁈たかだか万札1枚で私が納得すると思ってる涼介に、なんだか苛々してきた。「涼介ってさ……」「何だよ。早くゲームの続きやりたいんだけど」「私のこと舐めてるよね」「は?」涼介が立ち上がった。立ったまま話す私に距離を詰める。「何だよお前。随分と反抗的だな」「反抗的なんかじゃない。正しい主張をしてるの」「何だとこの……っ」頬と肩に鈍い痛みが走った。叩かれた勢いで壁にぶつかったんだ。「お前は俺に尽くしてりゃいいんだよ」「そんなのおかしい。帰って!今すぐ出てって!ここは私の家なの!」「黙れ!」また殴られる。その直後、玄関のドアがドンドンドンッと叩く音がした。「檀さん、またうるさいと苦情が来てますよ。開けてください」弾かれたように玄関に走ろうとする。腕を掴まれて辿り着けない。「痛っ……」「出なくていい」「嫌だ!助けて!助けてください!いやあっ!殴られる!」力の限り玄関に向かって叫んだ。「警察だ!開けなさい!」警察という単語が聞こえた瞬間、涼介の私を掴む腕の力が緩んだ。咄嗟にドアの鍵を外してドアを開けた。そこには制服を着た警察官と……絢斗がいた。「え、絢斗……?」「騒音があるということと、女性が暴力を受けているという通報がありました。間違い無いですね」「は、はい……」どうして絢斗が警察官と一緒にいるの?騒音で通報はわかるけど、涼介から殴られた話なんて私、絢斗にしていないはず。「署までご同行願えますか?」「何で俺が……れいな、お前、その男と」舌打ち混じりに私と絢斗を睨んだ。ぶつぶつ言いつつも、おとなしく靴を履いていた。「僕はただの生徒です。壇先生の腕にあざが見えたから交番で相談してただけですよ」冷たい目で涼介を見下ろす絢斗。
Última actualización : 2026-09-28 Leer más