Todos los capítulos de 仮面の告白〜甘美な誘惑に堕ちたわたしたちは、甘い蜜から逃げられない〜: Capítulo 21 - Capítulo 30

82 Capítulos

背徳の、その続き④

「岳さんには」 「伝えません」 ……そうなるか。知る権利は、あるけど。でも学生の身である岳さんに、今の麻子さんに出来ることは無い。残酷だけど、それが現実。 「最近ね、夫が優しいの。気持ち悪くてソファに横になっちゃって、家事が出来なくても怒らないの。姑もね、前まではただひたすら鬱陶しかったんだけど。家事手伝ってくれるし、ご飯のおかずも持ってきてくれるしで、今はありがたいの」 気持ちはわかる。私も妊娠中、鬱陶しかったはずの姑サマに後光が差して見えるという幻影を見た。でもね麻子さん。人間って都合のいい生き物でね。状況が変わるとまた鬱陶しくなるってのが実際なのよ。 食が進んで麻子さんの顔色が少し戻ってきた。朝から気持ち悪くて伏せってたのを無理やり来たんだろうな。旦那さんやお姑さんの話をする麻子さんは前より穏やかに見えた。 「岳さんとは、最近どんな感じなんですか?」 「岳には……体調が悪くて伏せってるって伝えてる」 「心配してるLINEが来ませんか?」 「毎日来ます。……でも妊娠してるかもだなんて、言えない」 寂しげな表情をする彼女は、もう彼と会うことを諦めているのだろうか。 ──言えない、か。果たしてそれは正解なのか?そもそも正解って何だ。私が決められることではないのは間違いないのだけど。 「うーん……」 「ほのか?」 麻子さん、一生言わないつもりなのかなあ。それが麻子さんの岳さんへの愛情なのかもしれないけど。でもなあ……。 「ほのか?どうかしたか⁈」 「へ?」 「炒飯が焦げ臭いんだけど」 「え?あれ⁈大変!」 慌ててフライパンの中の炒飯を混ぜた。玉子が茶色を通り越して黒くなりつつあった。危ない危ない。 「お前、例のママ友と何かあったんか」 「へ?ママ友?」 「今日会うって」 「あ、ああ……」 麻子さんへの取材に私は夫に「ママ友と会う」という名目で出かけていた。夫が怪訝そうな顔をしていた。 「何か嫌なことでも言われた?」 「いや、全然そういうのじゃなくて」 え?何で? 何で今日に限って夫の健次郎は私にこんなに聞いてくるの? 「何かあったなら言ってくれよ。夫婦だろ、俺たち。最近ほのか、ちょっとおかしいぞ」 お、これはまずい。私は全く後ろめたくないんだけど。でも我が家の家庭内が緊迫するのは私の本意ではない。 「
last updateÚltima actualización : 2026-09-15
Leer más

背徳の、その続き⑤

「──そういうことか。でもなあ……学生の身で、人妻、ねぇ……」事態を何とか把握した健次郎は、腕を組んで天を仰いだ。そのままうーんうーんと唸っている。「で、その人妻が妊娠して、相手の男から逃げようとしている、と」「逃げようとしてるんじゃなくて、相手を守る為だよ」「悪手だね」「へ?」山盛りの炒飯をもぐもぐ食べ、梅サイダーをぐびっと飲んだ健次郎は私と目を合わせた。「それは男として信頼されてない証だからね。教えてもらえなかったショックと、信頼に値していなかったショックで、しばらく起き上がれないやつだな」「ラッキーとか思わないの?」「遊びだったら、ラッキー。でも、本気だった場合、ラッキーって思うか?そんな男嫌だろ」「確かに……」コブサラダをスプーンで小皿に取って刻んだトマトをテーブルに落としそうになってるけど、健次郎の言うことは一理ある。そうか。男の人って好きな女の人の前ではかっこつけたいものだし、頼られたいんだっけ。しかし岳さんは麻子さんに本気だろう。遊びには全く見えない。麻子さんにとっては一時の火遊びだったのだろうけれど。そこのギャップがあったところに、この妊娠騒動。この先の展開が全く読めない。収まるのかな、この話?一瞬、目の前が真っ黒になった。「──え?」「だから、麻子さん。ちょいちょいロミオ来てたけど最近来てないじゃん?」「ああ……」来てないどころか、俺とも会えてない。ずっと体調が悪いって言ってたけど。本当は体調が悪いとかじゃなくて俺に飽きたとか……。いや、そんなはず無い。麻子さんは俺に夢中になってくれてた。俺だって夢中だ。俺たちは結ばれる運命なんだよ。「あのね」白雪さんが俺の耳元に口を寄せた。今日速水が一緒のシフトだったら死刑宣告喰らってたな。「ここだけの話、麻子さん、おめでたなんだって」オメデタナンダッテ──?「おめ、でた?」「そう、おめでた。麻子さん達、ずっと赤ちゃん欲しかったみたいだったから良かったよね」「あ、ああ……」拭いていたソーサーを滑り落として割らなかった俺を褒めて欲しい。全世界総勢で、褒めて欲しい。「それでね、──」白雪さんの話す言葉が、全く入ってこない。おめでた、だと?それってつまり妊娠だよな。俺の子?いや違うだろう。旦那の子?……でも、ずっと子どもできてなかったもんな。ということは、や
last updateÚltima actualización : 2026-09-16
Leer más

知らせ①

──そうか。そうなのね。尿検査の結果。箱の説明の写真と比べてみる。どう見ても、陰性。つまり、妊娠はしていないという結果だ。どうして?あんなに気持ち悪かったのに。生理も来てないのに。私のお腹に今赤ちゃんはいないの……?納得いかない。妊娠してないだなんて。岳としたとき、避妊はしていた。でもちょっとぐらい、彼の先が私に当たっていたことがあったから、妊娠してる可能性は絶対にある。そうか、私。妊娠してたかったんだ。岳の子、欲しかったんだ。……私、何てことを。ここは夫の子が欲しかったんだって言うところなのに。私にはもう、夫とともに生活する資格は無いのかもしれない。尿検査が陰性だとわかった途端に、さっきまでの吐き気が嘘のように消えた。食欲、全く無かったのに、急にお腹が空いてきた。ああ、やっぱり私、妊娠してなかったのか。どっちにしろ、生理が遅れてる。週数が早過ぎて尿検査では陽性にならなかったけど後から陽性になるパターンだってある。産婦人科、行ってみよう。きっと予約がいるよね。産婦人科で結果がはっきりしたら。夫に言わないといけない。夫は受け入れてくれるだろう。問題は姑。今度こそ口に出てしまうだろうか。出来損ないの嫁って。あれから2週間も待った。産婦人科って、こんなに予約で埋まってるものなのね。少子化って世の中では言われてるけど、この産院では話は別みたいだ。問診票には生理不順で受診したと書いた。妊娠してると思ってたけど検査薬は陰性でした、なんて書いたら想像妊娠って言われちゃう。ネットで見つけた、恐ろしい言葉。想像妊娠とは、実際には妊娠していないにもかかわらず、妊娠における様々な兆候が見られる心身症状の一種だという。精神状態が肉体の変化を起こす一例であり、多くは妊娠を強く望むか逆に強く恐れている神経質な女性にみられるってあったんだけど。まさしく、私だ。妊活してた。会社を辞めてまで。そのくせ、岳とするようになって、岳の子を授かってしまったらどうしようって思っていた。「13番の方、どうぞ」個人情報対策なのか、待合室では名前は呼ばれないものらしい。そうね、デリケートな話で受診する人ばっかだもんね。「……お願いします」「はい、13番の、谷口さんですね。そちら座ってください。……今日は、月経不順で?」問診票を読み上げるのは、ベテランの風格
last updateÚltima actualización : 2026-09-16
Leer más

知らせ②

家に帰りたくない。でもロミオには行けない。当てもなく歩いていた。受診前の吐き気が嘘みたいに消えていた。私、健康じゃん。普通の身体じゃん。喉奥から、身体の奥から、笑いがこみ上げてきた。「ふふっ……ははっ……はは、は……」容赦無くこみ上げてきたのは涙だった。「ふ……うう……う……」だめよ、こんな道端で。私、不審者じゃん。歩きながら笑って、泣くのを堪えて。もう、立っていられなかった。道の端に寄ってしゃがみ込む。涙が止まらない。どんどん、どんどん出てくる。鈍い動作で鞄の中からハンカチを取り出して、瞼を押さえた。止まらない涙の扱いに困って、ふと顔を上げる。──岳?しゃがみ込んだまま、涙でぐしゃぐしゃの顔を上げた。どう見ても岳。私、混乱し過ぎて幻影でも見てるんだろうか。またひと筋、ふた筋、涙が溢れた。と同時に、意識が遠のいた。「麻子さん⁉︎」岳の声が遠くに聞こえた。岳とは妊娠疑惑が始まってから、ずっとLINEでしかやり取りをしていなかった。ずっと聞きたかった声。その声が、遠くにしか聞こえない。岳の声、もっと聞きたい。聞きたいのに、瞼が上がらない。身体が、いうことを聞かない──。意識を完全に手放す直前、力強い腕に身体を支えられたのを感じた。見たことある、天井。顔を左に傾けると、すぐに白い壁。枕の匂いと掛けられた夏布団は岳の部屋のものだ。そうか、私、倒れたんだ。岳は、どこだろう。右を向いて目線を少し下げる。彼は夏布団に突っ伏して眠っていた。私の右手を握ったまま。岳が私の右手を握っていることに違和感が無いぐらい、岳の肌は私の身体に馴染んでいたのか。どうしよう。何を言おう。ずっと会っていなかった、その理由を話さないといけない。妊娠疑惑があったことも、私が岳と連絡を断とうとしていたことも、話さないといけない……のかな。起きあがろうと身じろぎすると、岳が目を覚ました。「麻子さん?良かった、気がついたんですね」「岳が、運んでくれたのね……。重かったでしょ」「俺の筋肉は麻子さんの為にありますから」ふふ、と笑いが口から漏れた。話さなきゃいけないことが、岳が聞きたいであろうことが、沢山ある。「あの、ね。岳……」「麻子さん。──俺の子、ですか?」真剣な眼差しが私を刺した。言葉を失っていると、表情を強張らせた彼が困ったように目尻を下げた。「それ
last updateÚltima actualización : 2026-09-17
Leer más

知らせ③

「……岳の、将来に。きっと私は、いられない」「どうして!」「だって私。結婚してる」「離婚すればいいだろ!」あ。だめだ。今の岳は冷静に物事を考えられない。「岳は学生だから……」「ああ学生だよ。でもな、あと2年で卒業して社会人になるんだよ。卒業するまでは妊娠させないように気をつけるから、それまで待ってくれないか」「待つ……?」岳は本当に、私との未来を見てしまっていたのか。私には、離婚する理由が無い。夫にしてみれば離婚する理由がある。私の不貞だ。これは一生誰にも言わないで、お墓まで持っていくつもりだった。「ねえ岳、早まらないで」「2年ある。その間に何とかして、麻子さん、離婚してくれないか」真っ直ぐな、その目が好きだった。今もそれは変わらない。でもだからといって、それは互いの人生を壊していい理由にはならない。「ね、一度落ち着こう」「俺は落ち着いてるよ。白雪さんから麻子さんの妊娠を聞かされてからずっとな」桃歌ちゃんだったか。ということは、やはり姑が言いふらして周り回って桃歌ちゃんの耳に入ったということ。暴走を始めてしまった岳との今の会話も若干しんどいというのに。このあと帰ったら妊娠してなかった現実を夫に、更には姑に告げないといけない現実に私はまた貧血を起こして倒れたくなった。「……そうか」「妊娠してないってわかった途端に気持ち悪いのが収まったの」あの後、岳に抱かれた。貧血起こして意識失った後だったんだけどな。暴走して今すぐ夫の嵐に私達のことをぶちまけてしまいそうな岳を落ち着かせるには、身体を使うしかなかった。家に着く直前、嵐に妊娠してなかったことをLINEで伝えておいた。いつもより1時間早く帰宅した夫は、私の身体を気にしてくれているのだろう。「今は食欲とか、体調とか」「ちょっと夏バテぽいけど、大丈夫みたい」「まだ顔色あんまり良くないぞ。今日は早めに寝なよ」「うん、そうする」疲れた?と尋ねる嵐に、岳とは違った安心感を抱いた。そうだ、私は嵐といて安心できるから、この人と結婚したんだった。「ね、嵐。お義母さんには」「俺から言うよ。麻子から言うのはしんどいだろ」わかってくれる人で良かった。報告は嵐がしてくれるけど、またあの襲撃を定期的に喰らうのか。その度にロミオに逃げ込んでたけど、暴走気味の岳に会うのかと思うと、ロミオに行くのも
last updateÚltima actualización : 2026-09-17
Leer más

あなたを守りたい①

「──それで、引越、したんですか?」「駅から結構歩くマンションにね。主人は通勤が大変そうだけど」またもや麻子さんに呼び出された。結構呼ぶ人なんだな。プライベートで友達だったら、頻繁にLINEや電話があっただろう。ビジネスの関係だけど、深入りしないようにするって難しい。「お姑さんは……?」「最初だけ来て、来なくなりました。主人が釘を刺してくれたのもあるけど、駅から20分も歩きたくなかったみたいで」姑襲来問題が解決したのは大きいな。前回に比べて、麻子さんの表情が落ち着いている。「ところで、岳さんとは──?」斜め下を見て、麻子さんは小さくため息をついた。「別れようと思っています」おお。ついに。麻子さん、この不倫を終わらせるのか。「岳は、彼自身の将来に私がいるって言ってくれた。もう、それだけで十分です。このまま不倫の泥沼にはまって、人生を棒に振らせちゃいけないんです」「それで納得してくれたんですか?」「まだ、話してません。ねえ、どうしたら、すんなり諦めてくれますかね?」知らないよ!私、不倫したこと無いしこれからもする予定ないもの。「うーん、最近、岳さんには会いました?」「会ってません。怖くて。妊娠してなかったことがわかった日に会ったのが最後。彼、すごく興奮してたから、別れ話をしたらどうなることか」喫茶ロミオの閉店後、恒例のおしゃべりタイム。本音は帰りたい。帰りたいけど、今日一緒にシフトに入った白雪さんに麻子さんの最近の動向を探る必要がある。俺はコーラにレモンのスライス(俺たちはレスラと呼んでいる)を、白雪さんはアイスミルクコーヒー。速水蒼《そう》もコーラにレスラを入れて当然のように白雪さんの隣に座る。白雪さんと速水は幼馴染で彼氏彼女らしい。早くもアイスコーヒーを半分くらい飲んだ店長の隣に俺は座った。リア充はやっぱり爆発すればいい。いや?俺もリア充に入れてもらえるか?麻子さんが離婚さえしてくれれば、俺はこの2人よりも先に麻子さんと結婚してやる。「そうだ、麻子さん引越したらしいよ」……引越?「麻子さんって桃歌の従姉妹だっけ?」「うん。そうちゃんのシフトの日はあんまり来てなかったっけ?」「2・3回見たことあったような……綺麗な人だよな」「そうちゃん?」白雪さんお得意の上目遣いが発動した。「も、桃歌の方が可愛いに決まってるだろ!
last updateÚltima actualización : 2026-09-18
Leer más

あなたを守りたい②

駄目。優しくしちゃ、駄目だ。岳にこんな冷たい言葉なんて投げつけたくない。岳と終わりになんてしたくない。もっと優しい言葉を打ちたくなる衝動を、辛うじて抑える。本当は会いたい。会って岳の胸に飛び込みたい。目尻から涙が溢れた。嗚咽を噛み殺して堪える。嵐がいびきをかいて寝ててくれて良かった。今の私の姿を、嵐に見せるわけにはいかない。スマホの電源を落とした。触っちゃ駄目。スマホを触ったら、また岳と繋がりたくなる。繋がったら、顔が見たくなる。声が聞きたくなる。あの体温に包まれたくなる。ああ……。幸せ、だったな。岳といるとき、岳に抱かれているとき、本当に、私は幸せだった。でも続けちゃいけない。だって私は結婚してる。離婚するつもりは無い。夫として、きちんと向き合ってくれる嵐に対して、私はこれから一生報いるんだ。人生最後の恋だった。そう思うことにしよう。きっと私は一生引きずる。岳が他の人と出会って幸せになる頃、私はそれでもまだ引きずるんだろうな。それもいい。それが私の罰だ。一生抱えて生きていく。嵐には悟らせないように。一生、私は嵐の良き妻を演じよう。それが私の贖罪だ。でもね。こんな嘘だらけの妻から嵐を解放してあげた方が、本当は一番いいのかもしれない。最近、嵐が私を抱くとき、前よりも激しく抱く。あんなに淡白だったのに。義務のように、仕方なく私を抱いてる感じだったのに。新婚の頃や結婚前の付き合ってるときよりも濃厚かもしれない。嵐なりに、何かを感じていたのかもしれない。彼は言葉にはしなかったけど、第六感みたいなのが働いたのだろう。私の声が枯れるほど、嵐は私を求めるようになった。岳とは会ってない。LINEは来てたけど、単語ばかりで返して、返しにくい内容でしか応じなかった。最後に送った私のメッセージにはリアクションスタンプしか無かった。そこで私たちのやり取りは途切れた。岳は、お別れを受け入れたのだろう。そこから程なくして、私は鈍い腰痛と貧血に悩まされるようになった。そういえば、先月も、その前も生理が来てない。もしかして、と前の騒ぎで購入しておいた検査キットで確かめた。結果は陽性だった。嵐との行為が以前と比べて格段に増えていた。ちゃんと、嵐の子だろう。でも。最後に岳を落ち着かせるために抱かれた後から生理は来ていない。あの日は外に出していた。それでも、もし、あ
last updateÚltima actualización : 2026-09-18
Leer más

あなたを守りたい③

「なかなかお会い出来なくて申し訳ありませんでした」「会いたかったのは私の我儘ですから。里崎さん、今は体調は?」麻子さんからアポがあったと編集部から話は受けていた。しかしその当時、私はふたり目のつわりに苦しんでいた。家事と美空の相手をするだけで精一杯で、麻子さんと岳さんの不倫記事は頭からすっ飛んでいた。「だいぶ落ち着きました。……あの、麻子さんも、もしかして?」私が遅い安定期に入り、やっとこさ麻子さんと会うことができた。麻子さんのバッグには、私と同じキーホルダーがついていた。「ええ。私もやっとつわりが治《おさま》りました」微笑みを浮かべる麻子さんは、ただ幸せそう、というよりも、何かを乗り越えた感じがあった。頼りなさげなふわふわとした雰囲気は消えて、どこかキリッとした、意志を感じさせる強さを持っているように見えた。「あの……その、聞いても」「岳の子である可能性は、あります」わー!わー!わー!マジっすか⁈あの妊娠騒動は結局想像妊娠で済んだけど、今度は現実よ?命がそこにいるのよ?「最後に岳としたあたりから、夫との回数が増えたんです。だから、可能性はどちらにもあって。どちらかというと、夫の子である可能性の方が大きいかもしれない」「うん、ご主人の子、ということにしておきましょう!」生まれてくる命に罪は無い。親の都合で振り回す確率は可能な限り低くした方がいい。ああ、気が進まない。『第二稿を出すなら、片方だけでなく、相手にもしっかり話を聞いてから書くべきだ』という至極当然な話が編集部からあった。それはつまり、岳さんにも話を聞いてから書きなさいと。大丈夫かな?麻子さんは岳さんとの連絡は断ったと話していた。岳さんが吹っ切れていればいいのだけど、あの熱量はそう簡単に冷めるとは思えない。覚悟を決めて、私は岳さんにアポを取った。「──お久しぶりです」「どうも」久しぶりに対面した岳さんは、以前熱弁していたときよりも精悍な顔付きになっていた。麻子さんといい、岳さんといい。不倫じゃなかったら幸せになっていたでしょうに。「あれから、どうですか?」念の為今日もホテルの和食屋の個室だ。万が一岳さんに号泣されても、ここなら人目を避けられる。「……聞いているんでしょう?麻子さんから」「はい」嘘をついてもすぐバレちゃうからね。面倒な展開になりそうな予感はあるけ
last updateÚltima actualización : 2026-09-19
Leer más

あなたを守りたい④・産休ライター①

肯定も否定もしてはいけない。だって私はインタビュアーだから。一度その境界線の向こうに片足だけでも突っ込んでしまったら、私も関係者になってしまう。不倫のインタビューって、こんなに難しかったのか。麻子さんは、きっと今でも岳さんを想ってる。それでも麻子さんが離婚しないのは、岳さんの立場を守るためでもあるけど、旦那さんへの忠誠心もあるのかもしれない。あのとき麻子さんは旦那さんとの回数が増えたと話していた。それは、旦那さんの防衛本能というか、麻子さんを手元に置く為の奪還行為だったのかもしれない。麻子さんも岳さんも神妙な顔してるけどさ。一番の被害者、麻子さんの旦那さんだからね?みんな、そこ忘れちゃダメなやつよ?あ。だからお墓の中まで持ってく話なのか。しかしなあ……。不倫モノのドラマって、大抵最後どっちか死ぬか心中だ。でも現実の当事者は案外たくましい。厚かましいと言った方が合ってるのかもしれない。現実、だもんな。ドラマは最後、誰か死なないと収まりがつかない。でも私達が生きているのは現実なわけで。だからといって、ふたりがしたことは許されることではないのだけど。麻子さんのお腹の子の父親が本当に旦那さんでありますように。岳さんが立ち直って前に進めますように。私に出来ることは、ただ祈るだけだ。「人妻と大学生の背徳LINEに“妊娠疑惑”──禁断愛が迎える最悪のシナリオ」「まさか、私が……」──28歳人妻Tさんの震える声に、年下大学生Yさん(21)との背徳の恋が新たな局面を迎えた。M市内の喫茶チェーンRで出会ったふたり。ショップカードの裏に書かれたLINEから始まった関係は、夫が知らぬ間に燃え上がり、ついにはYさんの部屋で逢瀬を重ねるようになった。だが先月、Tさんに“妊娠疑惑”が浮上。つわりのような症状に苦しみ、夫と姑は「新しい命かもしれない」と彼女を労った。罪悪感に押し潰されそうになりながら、Tさんは産婦人科を訪れる。結果は「妊娠していない」。想像妊娠だった。だがこの騒動で、Yさん
last updateÚltima actualización : 2026-09-20
Leer más

産休ライター②・青春の1ページ?①

とはいえ。二人目の育児って思った程しんどくない。ひと通り経験してるからかな。そう気付いた途端、私の中の野次馬根性が出てきた。私の第二子・博樹《ひろき》はもう6ヶ月になった。麻子さんももう出産終わったかな?ライティングぐらいなら、もう仕事復帰してもいいかも。そうすれば、二人とも保育園に入れてもらえる。私の住む地域は幸いにも、保育園の待機児童ゼロを目指しているところだった。出版社に交渉すれば、保育園に入るための必要な書類はすぐに揃うだろう。『お世話になっております。インタビューの案件を担当する準備ができました。つきましては詳細を教えて頂きたいです』はい、新規のインタビュー案件、他の人に取られてない前提ね。インタビュー案件は人気なので本来取り合いだ。本当にご指名案件だったら生きてるはず。『里崎様。育児、順調そうで何よりです。詳細添付致しましたのでご一読ください』返信はやっ。やきもきしないで済むから助かるけどね。ええと、添付ファイルは……。うわー。またしても禁断の愛シリーズじゃん。私ドロドロ担当班なの?『男子高校生と女性教師の恋。両方にアポ可能』また女性が年上パターンか。禁断の愛は年上女性が多いのか?違うか。男性教師と女子高校生だと記事が平凡になりがちだから?みんな刺激、欲しいのねえ……。久しぶりのホテルのラウンジ。うん、熱いぜ。家事と育児だけの世界から飛び出たこの感じ。解放感最高!……じゃなくて。仕事仕事。今回もラウンジの個室でアフタヌーンティーだ。しかし今回の取材対象者は男子高校生。甘いものなんて食べられるのだろうか?「予約した里崎です」スタッフに伝えてラウンジのテーブル席に通される。まだ例の男子高校生は来ていないようだ。男子高校生ってDKとかいうのだろうか?女子高生がJKっていうじゃん?どうでもいいけど。……まだかな?約束の時間から20分が過ぎている。個人のスマホの番号なんて知らないしな。
last updateÚltima actualización : 2026-09-21
Leer más
ANTERIOR
123456
...
9
ESCANEA EL CÓDIGO PARA LEER EN LA APP
DMCA.com Protection Status