気分転換のつもりで入ったバーの中で、燐は優真と思わぬ再会をしていた。「貴方……」「ここでは何もしないよ。僕は飲みに来ただけだからね」燐は扉に手をかけたまま動けなかった。肩に力が入り、優真を見る目がきつくなっていく。引き返すべきだと分かっていた。けれど……ここで背を向ければ逃げたのと同じになるような気がして、燐はかえって退けなかった。結局、燐は優真から一つ席を空けて丸椅子に腰を下ろした。バーテンダーが燐の前にコースターを置いた。燐は少し悩んでからカクテルを一杯だけ頼む。「貴方のやろうとしていることは、全部見たわよ。解任決議……あれはどういうつもり?」前を向いたまま燐は尋ねた。優真の方は一度たりとも見なかった。優真はグラスの中の氷を回してから一口飲んだ。それから彼もまた燐から視線を外して答える。「僕は最初から嘘はついていないよ。君の負担を減らそうとした」「それだけじゃないでしょ? 私の会社で何をするつもり?」「散り散りになった魔女たちを集めて、ひとつにする」燐はそれを話半分で聞いていた。バーテンダーが目の前で作ったカクテルがグラスで差し出され、燐はそれに口をつける。「白銀の家について……調べた」「それはどうも」「貴方の言葉にはもう騙されないわ。貴方はただ、魔女を支配したいだけ」「心外だなぁ」優真は横目に燐を見てグラスを傾ける。彼の見せる余裕はまったく揺らいでいない……「君だって同じことをしているじゃないか。この会社を設立してから、いったい幾つの事業を飲み込んできたのかな。それこそ、僕の手助けが必要になるくらいにね」「一緒にしないで。私は、皆の居場所を作りたいだけ」「同じだよ」燐が反論しても、優真の態度は何も変わらなかった。ずっと同じ顔でニコニコと微笑み続けている。何
Last Updated : 2026-10-21 Read more