ここまで来て、玲奈はようやく、今回の同窓会が開かれた本当の目的が分かった。椅子を引いて、その場を離れようと立ち上がると――会場の扉が開いた。「ごめんね、みんな。遅くなっちゃった」花織が笑顔で入ってくる。「正樹が、私が寒いんじゃないかって心配して……もう1枚着ていけって、うるさくて」「正樹、相変わらず花織には優しいな。さっきもちょうど、3人のことを話してたんだよ」「あら、そうなの?」花織はわざと驚いたような顔をした。そして、玲奈を見て続けた。「玲奈も来てたのね。よかった、玲奈に嫌われて、来てくれないんじゃないかって心配してたの」「……玲奈が花織を嫌う?どうして?」玲奈が何か言うより先に、篤志が花織に合わせた。「それは……結局、正樹のせいなのよ。私が帰国してからも、正樹は昔と変わらず私に優しくしてくれたの。それを見た玲奈が嫉妬して、離婚したいって言い出して……しかも、離婚の理由まで全部私のせいにしちゃって……私だって玲奈には申し訳ないと思ってるよ。でも……正樹が愛しているのは私で、玲奈じゃないの。そればかりは、私にもどうすることはできないから」「へえ、何年も一緒にいて、結婚までしたのに、一度も夫に愛してもらえなかったなんて……玲奈、かわいそう」誰かが小さく呟く。それに続くように、部屋のあちこちから囁き声が上がった。「本当にそうだよな……」玲奈は花織を見つめた。「もし、今の話を私に聞かせるために呼んできたのなら……残念だけど、意味はないよ。今の私にとって、正樹はただの元旦那。昔は家族だったけど、今はただの他人だから」「玲奈、そんな言い方はないでしょ……」花織はすぐに悲しそうに眉を下げる。「私はただ、玲奈と仲直りしたくて……」最後まで言う前に、花織の声が震えた。そして、小さくすすり泣き始める。玲奈はその姿を見て、思わず笑ってしまった。1人が泣き、1人が笑っている。その異様な光景に、周囲の同級生たちは戸惑いながらも、結局は泣いている花織のほうへ駆け寄り、慰めた。誰も、玲奈のほうを見ようとはしなかった。玲奈は、そんな同級生たちを眺める。昔は、同じ教室で笑って、同じ時間を過ごした仲間だったのに――今は、ひどく遠いように感じる。人は、こんなにも簡単に、誰かの言葉に流されるものなのだろうか。
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