All Chapters of 拾ったワンコは獣人でした。~イケメン獣人に求愛されて困っています。~: Chapter 21 - Chapter 30

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21. 束の間の平和[※R18]

「ファムのここ、俺によく見せて……」 私は、コウヤの膝の上で向きを変えさせられると、背中をコウヤの方へ向けて座った。 両足を広げて座るような形になり、羞恥で顔が熱くなる。「見て、ほら。ファムのここ、とっても綺麗な色をしてる」 真正面には鏡があり、あられもない姿をした自分が映っている。「いや、恥ずかしいから、やめて……」 身を捩って逃げようとするも、コウヤに後ろからがっちりと掴まれてしまう。「ファム、可愛い……。 ダメだよ、逃がさない。 あぁ、早く俺だけのものにしたい……!」 コウヤに耳元で囁かれ、熱い吐息が首筋にかかり、背筋がぞくぞくした。 鏡は湯気で曇っているが、私の中にコウヤの指が出たり入ったりしているのが見える。 シャワーフックに戻されたシャワーから出るお湯が脚にかかり、私の中から溢れる雫をさらっていく。 コウヤは、片手で私の乳房を揉みながら、もう片方の手で中を弄り続けた。 逆上せたように頬が火照って、身体が熱い。 頭がぼうっとして、何も考えられない。 私は、目の前にそそり立つコウヤの情欲に手を伸ばした。   * * * しばらくは平和な日々が続いた。 私が仕事へ出掛けて家へ帰って来ると、コウヤが食事を用意して待っていてくれて、 二人でそれを食べながら、会話を交わす。 コウヤの料理の腕前は、私が最初心配していた程悪くはなかった。 肉料理がメインだったが、私が野菜も出して欲しいと頼むと、律儀に私の分だけサラダを用意してくれた。「色々な場所を旅して回っていたから、自然とね」 どうやら、私と会うまでずっと<運命の女神>を探す旅をしていたらしい。 私がどんな場所を巡って、どんな旅をしていたのか詳しく聞こうとすると、コウヤは、あまり良い顔をせず、気が乗らないのか、話題を変え
last updateLast Updated : 2026-09-19
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22. 嵐の前触れ

 嵐の前触れは、意外と早くにやってきた。 コウヤと暮らすようになってから、早くも二週間が経とうとしていた。 仕事は、それなりに忙しかったけど、私は、前ほど残業をしないようになっていた。 というのも、私の帰りが遅いと、コウヤが私を迎えに会社までやって来るからだ。 場所を教えていたわけでもないのに、どうやって分かったの、と驚く私に、 コウヤは、恥ずかしげもなく、『ファムの匂いならどこに居ても分かる』と自慢げに胸を張った。 会社の人たちにからかわれるのも嫌なので、それ以来、なるべく早く家へ帰るようにしている。 それに、コウヤが夕食を用意して私の帰りを待っていてくれると思うと、自然と気持ちが家へ向かうのだ。 その日も、早めに仕事を切り上げて会社を出たところで、私のスマホに、百合からメッセージが届いた。『先輩、この間は、久しぶりに会えて嬉しかったです♡ 良かったら、今晩、一緒にご飯食べに行きません? 美味しいイタリアンのお店を見つけたんですよぉ~♪ 先輩の彼氏さんの話も聞きたいですし♡ それと……実は、ちょっと先輩にお願いしたいことがありまして……』 私は、なんだか嫌な予感がした。 仕事で遅くなるから難しい、と返信しようとしたら、私の返信を待たずに次のメッセージが届く。『実は今、先輩の家の近くに来てるんです! 駅で待ってますので、着いたら教えてください~♡』 先手を打たれてしまっては、後に引けない。 仕事だと返せば、駅で待っている百合と鉢合わせをする可能性がある。 多少強引な気はするが、何か困っていることがあるのかもしれない、と思うと無下にも出来ない。 仕方なく私は、了承の意と、駅に到着する時間を百合に返信した。 最寄り駅を出ると、百合が私に向かって手を振っていた。 相変わらず、可愛らしい格好にメイクもバッチリ決まっている。 私は、仕事帰りとは言え、地味目なビジネスカジュアルの服装に、ナチュラルメイク
last updateLast Updated : 2026-09-20
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23. 百合のお願い

 私が訊ねると、百合は、持っていたフォークを置いて、両手を膝の上に乗せた。 何か言いにくい話なのだろうか、と私が固唾を飲んで見守っていると、俯いたまま百合が口を開いた。「この前会った時にも少し話しましたけど、 私と純也、卒業したら結婚しようって話をしていて……」(……あれ? そう言えば、この前会った時、純也は、 百合が勝手に言ってるだけだって、言ってなかったっけ?) なんだか話がすれ違っている気もする。きっと純也が、私の手前、いい加減なことを言ったのだろう。「でも、うちの両親が純也のことを気に入っていて、 卒業なんか待たなくていいから、早く籍だけでも入れたらって言うんです」「はぁ……そうなんだ」 そう言えば、百合の父親は、会社の社長をしていると聞いたことがある。 社長令嬢となれば、本人の結婚について親が口を出すというのは、よくあることなのだろうか。 とりあえず、私は、グラスワインを飲みながら、百合の話を聞くことにした。「でもでも、私としては、籍だけ入れるなんて嫌で…… やっぱり、純白のウェディングドレスを着て、皆にお祝いしてもらいたいじゃないですか」 それが全女子の夢だとでも言うように百合が目を輝かせて私を見る。 私は、どちらかというと、あまり形に拘らないタイプなので、本人たちが良ければ、別に式など挙げなくても良いのでは、と思ったが、ワインを飲んで誤魔化した。「でも、私たちまだ学生だし、そんなに派手な式は出来ないだろうって純也が言うから、 私、純也との思い出のあるこのお店で、知り合いだけを集めたウェディングパーティを開けたらなぁと思ってまして!」(う……まさか……) 私は、百合の”お願い”が何なのか予想がつき、今すぐこの場を逃げ出したくなった。「それで、先輩にも是非、私たちのウ
last updateLast Updated : 2026-09-21
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24. 危険な視察

 土曜日の朝、ベッドの中でコウヤに抱かれたまま惰眠を貪っていると、インターホンが鳴った。 私は、目を開けて、時計を見た。 まだ9時前である。(まさか……また純也が来たんじゃないわよね) 不安なデジャブを感じつつも、渋々ベッドから這い出る。 脱ぎ捨ててあった服を手早く身に付けていると、布団の中でコウヤがううん、と目を覚ました。「……ファム? また誰か来たの?」 またコウヤが裸で出て来ては困るので、私は、コウヤに寝てていいよ、と伝えると、玄関へ向かった。 2回目のインターホンが鳴る。 やはり、押し売りなどではなさそうだ。 私は、前回の反省を生かして、今度は、ドアスコープから訪問者を確認することにした。 そこに居たのは、純也ではなく、作業着を着た見知らぬ二人の男性だった。(な、なんだろう……水道メーターの点検とか、電気の配線の点検とかかしら) それなら事前に連絡が来ていそうだが、と思いながらも、私は、恐る恐る玄関を開けた。「……はい。なんでしょうか?」「お休みのところ朝早くから申し訳ありません。 私たちは、動物愛護センターの職員の者です」 年配の方の男が名刺を渡して丁寧なお辞儀をした。 ”動物愛護センター”という名前に、ぎくりとする。 市が運営している犬猫保護施設の名前だ。「実は、先日〇×市の保健所から連絡を受けまして、 どうやら人に噛みついて怪我をさせた犬がいるという情報があり、調査中なんです」(まさか、純也が……?)「こちらで犬は、飼われていませんか?」「いえ、うちはペット禁止ですので……犬も猫も飼っていません」 私は、緊張で自分の声が震えないよう注意を払いながら答えた。 犬を飼っていないのは本当だが、純也に怪我を負わせたのは本当なのだ。「申し訳ないのですが、お部屋の中を拝見させて頂けないでしょうか?」「そ、それは、ちょっと……部屋が散らかってますので……」 ベッドの中で、コウヤが裸のまま寝ているのを気にして答えた。 だが、動物愛護センターの職員は、別の意味に受け取ったようだった。「あまりお時間は取らせません。 犬が居ないことだけ確認させてもらえれば、それですぐにお暇します。 事情が事情なもので、もし人に害を加えた犬を飼われているとなると、 その犬が今度は別の人間を襲う可能性もあります。 
last updateLast Updated : 2026-09-22
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25. 不穏な予感

 若い職員は、部屋の中を見回すと、ベッドの上で上半身だけ起こしているコウヤを見つけた。 きょとんとした表情で職員の顔を見ると、何かを思い出したように口を”あ”の字に開けた。「昨日、うちに来た人」「……はい。インターホンを鳴らしましたが、 どなたもお出にならなかったので、お留守かと……」 私がコウヤに、インターホンが鳴っても絶対に出ないで!と、強く言い聞かせていたからだろう。 私が仕事へ行っている間に、彼らが来ていたという事実に私は、血の気が引く思いがした。 若い職員は、部屋の中に犬の姿がないことを確認すると、玄関で待っていた年配の職員に向かって頷いて見せた。「犬は、飼ってらっしゃらないようですね。 大変失礼致しました」 二人の職員は、確認がとれましたので、と言って軽く会釈をして帰って行った。 私は、扉を閉めると、鍵を閉め、大きなため息を吐いた。「ファム、大丈夫?」「ちょっと、昨日あの人たちが来たなら、私に言ってよね。 はぁー……寿命が縮むかと思ったわ」「うん……でも、今の人たち、誰だったの?」 コウヤは、事情が分からず、不思議そうな顔で首を傾げている。「動物愛護センターの職員だって。 つまり、野良犬とか野良猫、飼い主のいない動物を引き取って、管理する人たち」 いまいちピンと来てなさそうなコウヤに、私は、言うべきかどうか迷ったが、 大事なことなので伝えておくことにする。「前に、コウヤが純也の腕に噛みついたことがあったでしょ? たぶん、そのことで、コウヤを探してるんだと思う」「俺、行った方がいい?」「ダメよ! 絶対に見つかっちゃダメ! 動物愛護センターっていうのは、可愛らしい名前で誤魔化してるけど、 引き取り手のない犬猫を殺処分してる所なんだから。 
last updateLast Updated : 2026-09-23
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26. 宇宙人男

 その日は、1日朝から雨が降っていた。 窓から伝わるひんやりと冷たい空気が湿気を孕み、気怠い意識の中から目を覚ます。 横を見ると、コウヤがベッドの中で犬の姿になって眠っていた。 起きた後も人間の姿になる気配がまるでない。 やはり、新月の日は、人間になれないというのは、本当らしい。 必要な買い物は、昨日の内に済ませておいたので、今日は、一日ゆっくり家で過ごすだけでいい。 簡単な朝食を済ませると、私は、録り溜めていた映画を消化することにした。「……なんで、映画やドラマって、こうすぐ相手の人を好きになるのかしら」 ポップコーンを口に含みながら、見ている映画に向かって不平を漏らす。 不平というよりも純粋な疑問だ。 作り物の映画やドラマに向かって文句を言っても仕方ないのだが、いつも思ってしまう。 映画やドラマも好きだけれど、私は、どちらかというと、ゆっくり恋に落ちて行く過程を感じることのできる小説の方が肌に合っている気がする。 一目ぼれというのが私はイマイチ理解できない。 要は、外見だけしか見ていないということではないのか。 果たして、それが本当に真実の愛と言えるのだろうか。 実際に付き合ってみて、やっぱり何か違うな、と思うことだってあるだろう。 それはそれで仕方ないとは思うけれど、それなら”真実の愛”とやらは、一時の気の迷いや錯覚でしかないのではないだろうか。 くぅーん、とコウヤが甘えた声を出す。 私が横を向くと、可愛い顔を傾げて、こちらの見上げる黄緑色の瞳がある。 その目が”俺を見て”と言っているようで、思わず笑みが零れた。 いつもなら私の独り言で終わるだけのセリフが、犬の姿をしているとは言え、コウヤが傍で聞いていてくれる。 そのことに心がほんのり温かくなるような気がして、こんな生活も悪くないかなと思った。 その映画は、宇宙からやってきた謎の生命体が人間の男の姿に化けて、地球侵略を目論む、というちょっと不思議な内容だ。 何人もの地球の女性たちが彼の虜になっていくのに、たった一人だけ彼の言いなりにならない女性がいた。 それがヒロインだ。 宇宙人男は、彼女を自分に振り向かせようと躍起になっているうちに、彼女を本当に愛してしまう。 彼女の方も、初めは嫌っていた筈の宇宙人男(彼女は宇宙
last updateLast Updated : 2026-09-24
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27. 雨の中の訪問者

 私は、どきっとした。(まさか、また動物愛護センターの人じゃないわよね……) それなら居留守を使おうと心に決めながら玄関へ向かうと、ドアスコープから外を覗いた。 しかし、そこに居たのは、私が予想もしていなかった、全身雨に濡れてずぶ濡れの水谷百合の姿だった。「どうしたの?! ずぶ濡れじゃないっ!」 慌てて扉を開けると、百合は、俯けていた顔を上げてこちらを見た。 青ざめて、まるで世界の終わりだとでも言うような表情だ。「先輩……私……もう、どうしたらいいのか……」 傘も差さずに外を歩いて来たのだろうか。 自分の肩を抱いて震えている彼女をそのままにしてはおけず、とりあえず家の中へ入るよう促すと、乾いたタオルを取ってきて彼女にかけてやった。「一体、何があったの?」 私が聞いても、百合は、顔を俯けて答えようとしない。「話たくないなら、無理には聞かないけど…… とりあえず、そのままだと風邪をひくわ。 話は、お風呂に入って、身体を温めてからにしましょう」 青い顔で震えながら頷く百合を私はお風呂場へ連れて行った。 百合がお風呂に入っている間、私は、彼女の着替えを用意しておくことにする。 ダイニングから部屋に戻ると、コウヤは、大人しく映画の続きを見ていた。 どうやら、よほど気に入ったらしい。 私は、コウヤのいる部屋の扉を閉めると、ダイニングテーブルの上に暖かいお茶を用意し、そこで百合が出てくるのを待った。 お風呂から上がった百合は、私の用意したお茶を一口飲むと、少し落ち着いたようで、漸くその重い口を開いた。「純也さんが、もう私とは結婚できないって……」 それを聞いた私は、思わず飲みかけていたお茶でむせそうになり、慌てて湯呑みを机の上に置いた。「ぇえ、なんで?!」「どうや
last updateLast Updated : 2026-09-25
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28. 百合の告白

 職員の人たちは、軽く会釈をすると、呆気に取られている私の横を素通りして、部屋の中へと入って行く。「ちょ、ちょっと、勝手に入らないでください! 警察を呼びますよ!」 年配の職員の方が私を振り返って厳しい目付きを向けた。「警察をお呼びして困るのは、そちらではないですか? こちらはペット禁止の賃貸物件ですよね。 それに、人に害を為した野良犬を勝手に匿っていたとなると、それなりの責任を問われることになりますよ」「だから、犬なんて飼ってないって言ってるでしょ?!」 私は頭に来て、つい声を荒らげてしまう。 すると、若い方の職員が奥の部屋へ続く扉を開けて、犬の姿をしたコウヤを見つけた。「いました」「すぐに捕獲しろ」「だめっ、コウヤは人間なのよ! 犬じゃないのっ!!」「飼い犬のことを家族のように扱うお気持ちは大変分かりますが、 人間に危害を加えた犬を放置しておくわけにはいかないのです」 コウヤは、最初抵抗していたが、私の方を見ると、何故か急に大人しくなって、若い職員の手でハーネスを着用させられた。 そのまま私の目の前でコウヤが連れて行かれてしまう。 追い掛けようとした私の手を誰かが背後から掴んで止めた。 百合だった。「離して、コウヤが……! あれは、本当に犬じゃなくて」「〈獣人〉……ですよね。 やっぱり、そうだった」 百合が私の言葉尻を奪うように、驚くセリフを口にした。 はっと振り返って百合を見返す。「え、どうして……百合、あなた〈獣人〉を知ってるの?」 百合は、私のその質問には答えず、無表情のまま私を見つめた。「先輩が悪いんですよ」「どういうこと?」「私から純也さんまで奪おうとするから」「&hell
last updateLast Updated : 2026-09-26
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29. 水谷百合

 水谷百合は、生まれた時から何不自由なく育ってきた。 父は大企業の社長で、母も資産家の娘であったため、欲しいと思うものは自分がそうだと自覚する前に与えられてきた。 父は仕事人間でほとんど家には帰らなかったが、美しい母を愛しており、会えない日でも花やジュエリーなどの贈り物を欠かさない。 それは、一人娘である百合に対しても同じで、百合が欲しいと口に出す前に、玩具でも洋服でも何でも当たり前のように与えられてきた。 自分の誕生日に、父の仕事が重なり会えない時ですら、贈り物の山を見て、父からの深い愛情を感じていた。 寂しいと感じる暇を与えない程には愛情を注がれていたのだ。 少なくとも、百合は、そう思っていた。 そう思わされていた、という方が正しいのかもしれない。 それが植え付けられた偽りの愛情であったと気付いたのは、百合が10歳になった頃のことだ。 父の秘書を勤めていた女性が突然、百合の前に現れて百合を誘拐したのだ。 その時は、自分が誘拐されただなんて夢にも思っていなかった。 大人しくしていたら父に会わせてあげると言われて、嬉しかったのを覚えている。 なかなか会うことの出来ない父に会いたい一心で百合は、秘書の言葉に従った。 数日軟禁状態にあったと言うのに、少しもおかしいと感じなかったのは、他人から言われるままに生活する暮らしが当たり前になっていたからだろう。 SPが部屋に突入してきて初めて、百合は自分が誘拐されていたことを知った。 目の前で拘束された秘書が自分の父親の愛人であったと知ったのは、数日経って学校へ行けるようになってから、級友たちの口から聞いた。 無事で良かった、と泣きながら百合を抱きしめてくれた母は、父に愛人がいたことを百合が話しても驚かなかった。 その時は、母に同情していた百合だったが、母にも父と同じように愛人がいることを知ったのは、百合が中学に上がる頃のことだった。(二人とも、口ではお互いのことを愛してるって言ってるけど、本当は違った……。 きっと私のことも、本当は愛してなん
last updateLast Updated : 2026-09-27
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30. 動物愛護センター

(大丈夫……。一晩経てば、コウヤは、人間の姿に戻れる。 そうしたら、きっと誤解も解けて、無事に帰してもらえるわ) 百合が帰った後、私は、一人で部屋の中をウロウロと歩き回りながら、自分に言い聞かせていた。(……でも、待って。 それは、それで問題なんじゃない? 突然、犬が人間の姿に変身したら、それこそニュースにでもなって、怪しい研究材料とかにされて、帰してもらえなくなるんじゃ……) 私は、居てもたってもいられず、今すぐにでも保健所へ出掛けて行きたい気持ちをぐっと堪えた。 どの道、コウヤが犬の姿のままでは、いくら私が行って訴えたところで、相手にしてもらえないだろう。(コウヤ……お願い、私が行くまでは犬のままでいて!) その夜、私は、久しぶりに一人で夜を過ごした。 明日のために早く寝ようとベッドに入ったが、コウヤのことが気になって、なかなか寝付けない。(このベッド……こんなに広かったっけ? セミダブルなんだけどな……) 思えば、ここ最近ずっとコウヤに抱きしめられながら眠っていた。 布団の中に居るというのに、何故か肌寒く、私は身震いした。 明日のためにも早く寝なくては、と思えば思うほど目が冴えてしまう。 私は、ベッドから出て、ベランダに出ると、空を見上げた。 いつの間にか雨は止んでいたが、曇っていて星一つ見えない。(まさか、こんなことになるなんて……。 百合のあんな顔……初めて見た。 一体いつから私と純也の関係を知っていたのかしら?) ずっと隠していたつもりだったのに、彼女が知ったのだとしたら、きっと純也から聞いたのだろう。 私は、純也との関係を親しい友人たちにすら話したことはない。 この前、百合に誘われて一緒に食事をした時は、結婚する
last updateLast Updated : 2026-09-28
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