東城先生の後を追い、私たちは、畜舎の中へと入って行った。 中は獣の臭いが充満している。 懐かしい。 大学のサークル活動では、よくこの臭いを嗅いでいた。 東城先生に案内された一室は、中央に動物を乗せるための治療台が置いてあり、中に入ると消毒薬の臭いがした。 その間、コウヤはずっと私の手を握って、傍から離れようとはしなかった。 ただ、部屋に入る時、少しだけ嫌そうな顔をしたのを私は見逃さなかった。 私がコウヤの名前を呼ぶと、少し躊躇しながらも部屋へと入る。 私たちが中へ入るのを見て、東城先生が内側から鍵を閉めた。「それじゃあ、まずは何から話そうかしら。 ……ああ、あなたの大事なワンちゃんが死んだって話からかしらね。 あれも嘘ではないわ。 ただ私は、書類上〝死亡〟と書いてあげただけ。 でも、そのことならむしろ感謝して欲しいわ。 そのおかげで、動物愛護センターの監視から逃れられたのだもの」「……えっと、つまり、東城先生は、コウヤを助けてくれた……ってことですか?」「そうよ。私が居なかったら今頃、あなたのワンちゃんは、一生檻の中か、殺されていたでしょうね」 ごくり、と私は、唾を飲み込む。 やっぱり、コウヤは、それだけのことをしたのだと思い知らされる。 一歩間違えていれば、本当にコウヤは今ここには居なかったらかもしれないのだ。 私は、無意識にコウヤと繋いでいる手に力を込めた。 すると、コウヤも私の気持ちに答えるかのように強く握り返してくれる。(大丈夫。コウヤは、ここにいる) 私は、気持ちを落ち着かせようと深呼吸をした。「でも、どうして助けてくれたんですか? 東城先生は、その……コウヤのこと、どこまで知っているんですか?」 東城先生は、にやりと含み笑いをして言った。「どこまでって…&helli
Last Updated : 2026-10-14 Read more