第11話 気にしてないと言う人ほど、だいたい気にしている 神崎先輩から届いたメッセージを見て、俺は嫌な予感しかしなかった。『陽菜ちゃんの記録会、私たちも行くよ』 そこまではいい。 応援する人間が増えるのは、たぶん陽菜にとって悪いことではない。 問題は、その下に続いた一文だった。『澪も来るって』「……ああ」 思わず声が漏れた。 白石澪先輩が何か悪いわけではない。 むしろ静かで、押しつけがましくなく、俺が嫌そうな顔をすればすぐ引いてくれる。神崎先輩よりよほど付き合いやすい人だ。 ただ最近の陽菜は、澪先輩の名前が出るたびに微妙な顔をする。 本人は否定する。 嫉妬ではない。 怒ってもいない。 気にしていない。 その三つを繰り返す。 そして大抵、全部嘘だ。「どうするかな」 別に俺から知らせる必要はない。 当日まで黙っていてもいい。 だが、記録会当日に突然澪先輩が現れたほうが面倒になる気もする。 少し考えて、結局陽菜へメッセージを送った。『神崎先輩たちも記録会来るらしい』 すぐに既読。『ほんと?』『うん』『玲奈先輩?』『あと白石先輩』 そこで返信が止まった。「ほらな」 分かりやすすぎる。 一分。 二分。 ようやく返事が来た。『そうなんだ』 短い。 非常に分かりやすい。『嫌?』『別に』「出た」 もう笑うしかない。『その別に信用できないんだけど』『ほんとに別にだよ』『じゃあいいけど』『何で白石先輩も来るの?』 来た。『神崎先輩が誘ったんじゃない』『ふうん』『何』『何でもない』「二連続かよ」 俺はベッドに横になりながら返信する。『気になるなら本人に聞けば』『気になってないし』『じゃあ聞かなくていい』『うん』 これで終わりかと思った。 数十秒後。『白石先輩って陸上好きなの?』「気になってるじゃん」 思わず笑った。『知らない』『悠真、聞いてないの?』『何で俺が聞くんだよ』『よく話してるから』『そんな話してない』『でも図書館で会うんでしょ』『たまに』『字も書いてる』『頼まれたら』 また止まる。 そして、『へえ』 と返ってくる。『何だよ』『別に』『今日はそれ禁止』『じゃあ何も言わない』『余計感じ悪い』『悠真が細かいんだよ』『お前が
Last Updated : 2026-09-22 Read more