アルフレッドは予想もしていなかったアドルフからの質問に声を失い、手にしていたロケットに視線を落とす。そこにはあの夜、白檀の女が落としていった銀のロケットが握られている。「……どうしてこれがリリアナのだと?」「だってそれローズ叔母さんのお気に入りで僕も持ってるから。ちょっと待っててください」 それだけ言ってアドルフは席を立ちサロンを出ていく。 しばらくして戻って来たアドルフの手には、確かに銀のロケットが握られていた。「ほら、一緒でしょ? 叔母さんは子どもたちの誕生日にこれを渡してたんです。ちょっと貸してください」「あ、ああ」 アルフレッドがロケットを渡すと、アドルフが手慣れた様子でロケットを開き、ロケットの鎖が繋がった部分のツマミを回した。すると、ロケットの裏側が開いたではないか!「こんな仕掛けがあったのか」「ええ。ああほら、やっぱり」 そう言ってアドルフはロケットの裏側をアルフレッドにも見えるよう掲げてくれる。そこにははっきりと『愛するリリアナへ。十五歳の誕生日に』と書かれている。「……では、あの夜の女はリリアナ……?」 思わず呟くと、正面に座っていたアドルフの顔が険しくなる。「なんです? あの夜って。あんた、もしかしてリリアナに何かしたんじゃないでしょうね?」「何か……そうだな。俺は彼女にとても酷い事をしてしまったんだ。だから謝りたくて彼女をずっと探していたんだが……」 手のひらのロケットを握りしめて視線を伏せたまま言うと、アドルフが大きなため息を落とす。「まぁ彼女は馬鹿みたいにお人好しなんで、別に怒っちゃいないと思いますよ」「……だといいが。とりあえずありがとう。ロケットの秘密を教えてくれて助かった」「どういたしまして。僕もあんたじゃなきゃ話さなかったと思いますよ」「どういう意味だ?」 アドルフの言わんとしている意味が分からなくて尋ねると、アドルフは肩を
Last Updated : 2026-10-13 Read more