スカーレットは急いでバッグの内ポケットを探したが、指輪はなかった。ポケットの中まで探ってみたものの、それでも見つからない。突然、激しい不安が彼女を襲った。まるで胸を何かで強く打ちつけられたようだった。さっきまで指にはめていたはずだ。いつ外したのか、まったく覚えていない。もしかすると、少し緩かったせいで、いつの間にか外れて落ちてしまったのかもしれない。スカーレットが突然動かなくなったことに気づいたダリウスは、ポケットから指輪を取り出すと、慣れた手つきで指の間でくるくると回し始めた。唇の端をわずかに上げる。「俺以外で同じ指輪を持っているのはクラウスだけだ。だが、あいつはもうお前に渡した。それに、俺は自分のを身につけている」スカーレットは目を細めた。やはり自分は指輪を落としていたのだ。だが、それがどこで、どうやってダリウスの手に渡ったのかは、まったく分からなかった。「どうしてあなたの手にあるのか分からないけど、見つけてくれてありがとう。私にちょうだい」スカーレットは指輪を受け取ろうと近づいたが、ダリウスが最後の瞬間に身を動かした。その拍子に彼女の手が滑り、ダリウスの胸に倒れ込んだ。ダリウスはしっかりと彼女を受け止めた。突然、自分の胸に押しつけられた彼女の身体から、予想もしなかった熱が一気に込み上げてくる。スカーレットの香水の香りがダリウスの鼻腔を満たし、古い記憶が突然よみがえった。ホテルで一緒にいた女と同じ香りだった。だが、なぜスカーレットからその女と同じ香りがするのに、デヴァインからは何も感じなかったのか。それだけは、ダリウスにも説明がつかなかった。スカーレットが身じろぎし、頭が彼の胸に触れると、小さく息を呑んだ。彼女が動くたびに、二人の間の空気はますます熱を帯びていった。ダリウスは身体を強張らせ、彼女の頭のてっぺんに手を置いた。「何をしている?」「髪があなたのシャツのボタンに引っかかってるの」スカーレットは小声で言った。「外せない」ダリウスの胸に押しつけられたまま、スカーレットの顔は赤くなった。耳元で彼の心臓が一つ一つ鼓動を打つのを感じる。その鼓動は、信じられないほど速かった。ダリウスは深く息を吸った。スカーレットが動くたびに、自制心を試されているようだった。彼は彼女の背中を軽く撫でた。「動くな。俺がやる」スカーレットは身動き一つできなくな
Dernière mise à jour : 2026-09-28 Read More