ルミエールの会議室の画面には、都内の最高級の結婚式場が12か所、並んでいた。グランド・キリュウ・ホテルのグランドボールルーム、ホテル・オルヴィエのスカイラウンジ、東京湾に浮かぶ水上バンケットまで。宮瀬真帆が最初の写真を映した。「収容人数は1,200名、天井高は15メートルです。花の設営だけで3日間使えます」紗月はすぐに首を横に振った。「招待客は30人なのに、どうして1,200人分の場所が必要なの?」「会長のほうだけでも、出席したい方を絞って30名は超えると思いまして」会議テーブルの端から、蓮司が言った。「招待しないよ」社員たちの視線が集まった。「今回の結婚式を、挨拶回りの場にするつもりはない。仕事上、お祝いを伝えなければならない人には、会社に送ってもらえばいい」宮瀬真帆はグランド・キリュウ・ホテルの写真を閉じ、次の会場を映した。「では、こちらは? 東京湾の夜景がきれいで、全館貸し切りも可能です」「船に乗るの?」湊が尋ねた。「ううん。水の上に浮かんでいる建物だよ」「ぼく、よっちゃう」2つ目の会場も、候補から外れた。12か所すべてを見ても決まらず、小森杏奈が遠慮がちに手を挙げた。「小さくてもよろしければ、1か所、知っている場所があります」画面に、古いガラス張りの温室が映った。都心から1時間ほど離れた川沿いの植物園にある、寄付金で修繕された小さな温室だった。壁の片側はツタに覆われ、中にあるのは長いテーブルが4つだけ。「こもれび温室といいます。もともとは市民の庭園で、週末だけ小規模な結婚式を受け入れています。最大40名で、食事は外部のケータリングを利用する必要があります」杏奈は会場費、キャンセル規定、バリアフリーに関する資料も映した。温室の入り口には緩いスロープがあるが、トイレまでの道は一部が砂利になっている。招待客に杖を使う人がいるため、仮設の通路板を借りる必要があった。「きれいなだけの場
Terakhir Diperbarui : 2026-10-10 Baca selengkapnya