「桐生社長との結婚は、凛にとってただの足枷でしかありません」陸の声が耳元に届く。そこには、どこか挑発の響きがあった。「でも……その足枷も、もうすぐ外れるでしょう」真也の表情は冷え切っていた。陸の言葉に乗せられることなく、淡々と言い返す。「それが足枷かどうかは、俺には分かりません。ただ――血が繋がっていないとはいえ、兄が自分に恋愛感情を抱いていると知ったら、凛はどう思うでしょうね」電話越しでも、真也と陸はお互いへの敵意をはっきり感じ取っていた。長い沈黙が流れる。真也が通話を切ろうとした、その時。陸がゆっくりと口を開いた。それは、余裕に満ちた笑みを含ませた声だった。「俺と凛は付き合ったこ
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