廊下を抜けてきた淡いジャスミンの香りが、彼の鼻先をくすぐった。こんな凛を、真也は今まで一度も見たことがなかった。整った顔立ちをしていることは知っていた。けれど、凛は普段から自分を飾り立てるような女性ではない。身につけるものも柔らかく落ち着いた雰囲気の服ばかりで、化粧をする日も少ない。ほとんどの日は素顔のまま、自然体で過ごしていた。だからこそ、目の前の姿が余計に新鮮だった。凛はわずかに口元を緩め、真也の目をまっすぐ見つめる。表情は優雅な笑顔。けれど、彼の腕に絡めた手は誰にも気づかれないほど強く力が込められていた。「……私に惚れ直しちゃったの?あなた」最後の3文字だけ、わざと強調するよ
Read more