まるで雷に打たれたかのような衝撃が走り、耳の奥でガンガンと耳鳴りが響いた。命懸けで自分を愛してくれた奏多が、別の女との結婚式の招待状に顔を並べているなんて。どうしても信じられなかった。梓と奏多も、社内恋愛の末に結ばれた仲だ。当時の梓はまだ奏多のアシスタントだった。出張に同行した先で土石流に巻き込まれ、奏多は泥と瓦礫の下に埋もれてしまった。運よく難を逃れた梓の目の前には、いつまた崩れてもおかしくない山肌が迫っていた。見捨てて逃げることだってできたはずだった。それでも梓は残った。夜通し素手で土を掘り続け、両手の指が血まみれになるまで掘り続け、ようやく奏多を助け出したのだ。梓が入院し、何日も意識が戻らなかったあいだ、奏多は何度も神社へ足を運んだ。長い石段を、一段上るごとに膝をついて祈りながら上った。その後も、梓に振り向いてもらうために、できることは何でもした。梓が好きなものなら、空の星でも取ってきてくれそうなほどだった。梓が少し眉をひそめただけで、1000億円規模のプロジェクトさえ放り出し、その夜のうちに帰国して「どうした?何か嫌なことでもあったのか」と駆けつけてくるような人だった。その一途さに心を動かされ、梓はとうとうプロポーズを受け入れたのだ。ただ、昇進が社長のコネだと思われたくなくて、結婚を伏せておきたいと言い出したのは梓のほうだった。あのとき、奏多はひどく寂しそうな顔をしていた。「俺じゃ、梓の夫を名乗る資格もないってことか。隣を歩くことも許されないのか!」なのに今では、その秘密の結婚が、彼が裏切るための好都合な盾になっている。梓は結婚届受理証明書をきつく握りしめたまま離さなかった。花梨が何度か引っ張っても、びくともしない。たまらず花梨が口を開いた。「あれ、どうかされましたか?顔色がすごく悪いですよ」梓は動揺を抑えきれず、まっすぐに花梨と視線を合わせた。「この受理証明書、偽物みたいだけど」「ふふ、そんなわけないじゃないですか」花梨は思わず笑い、幸せそうに目を細めた。「昨日、発行してもらったばかりですよ。婚姻届を出したあと、役所の前で記念に写真も動画も撮ったんですから」そう言うと、花梨はスマホを取り出し、その時の動画を梓の目の前に差し出した。動画に映る黒いスーツ姿の見慣
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