第二回の放送が公開された日、問題は37秒の予告編から始まった。【一ノ瀬怜奈「お金が必要で出演」衝撃の告白】その言葉だけを切り取った動画の下で、コメントが爆発した。【やっぱり金目当てで男三人狙ってたんだ】【正直なふりして、一番計算高い】【桐生の資産を見て来たんじゃないの?】怜奈は動画を三度見た。本編には、その後の言葉もあった。『だからといって、何をされてもいいわけではありませんけど』。予告には、なかった。法的に、言ってもいない嘘を作られたといえるほどではなかった。実際に、自分が言った言葉だ。だからこそ、厄介だった。「削除をお願いしましょうか?」担当の構成作家が、慎重に尋ねた。怜奈はすぐには答えなかった。「予告編の編集を承認するのは、誰ですか?」「まずオンラインチームが作って、広報が確認します」「出演者は事前に確認できない?」「通常は」怜奈は契約書を開いた。編集権は制作会社にあった。その代わり、事実と異なるテロップや、名誉を著しく損なう編集には、異議を申し立てられるという一文が付いていた。「削除ではなく、テロップの修正はできますか?」「どのように?」「前後の言葉も入れてください。それか、本編のリンクを固定するとか」担当の構成作家が、制作会社の広報に連絡した。返事は、すぐには来なかった。***リビングでは、三人の男がそれぞれ違う反応を見せた。神崎は、すでに自分のSNSを開いていた。「俺が、一言言う」「やめてください」怜奈はスマートフォンを奪わなかった。ただ、手を差し出した。「何で」「代わりに怒ってもらったら、また『男の後ろに隠れた』って言われます」「じゃあ、黙ってろって?」「私が先に、やります」神崎は歯を食いしばり、スマートフォンを下ろした。「わかった」その一言は、以前よりずっと大きかった。桐生は動画の数字を確かめた。「投稿から2時間で、180万再生。消すと、保存された画像や動画が余計に出回る可能性があります」「では?」「元の文脈が、もっと早く広がるようにするほうがいい」黒崎は、本編の該当部分を見直していた。「怜奈さん」「はい」「次にこういう質問が来たら、一拍置いてください」「どうして?」「編集点が、よすぎる」彼は動画のタイムラインを指した。「『お金が必要だったからです』と言って、すぐ
Huling Na-update : 2026-10-09 Magbasa pa