百歩譲って、私が一方的に若博を好きになり、自分を特別な存在だと思い込みすぎたせいで、彼の嫌がるところまで踏み込んでしまっていたのだとしても……私たちは、十数年も一緒に過ごしてきた。だったら、どうして私に言ってくれなかったのだろう。どうして麗奈と一緒になって、私を責めたのだろうか。私は首を振って昔のことを頭から追い出し、空気を入れ替えようと窓を開けた。そのとき、いつからそこにいたのかわからないが、階下に人影があることに気づいた。稲妻が走り、一瞬だけ辺りが明るくなる。その光の中に若博の青白い顔が浮かび、私と目が合った瞬間、表情に隠しきれない期待が滲んだ。夜は少し冷えていて、若博の指の動き
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