浮気夫に「3ヶ月以内に妊娠しろ」と命じられた私、なぜか夫の兄に見初められ溺愛されています 의 모든 챕터: 챕터 1 - 챕터 3

3 챕터

色を奪われた、わたし①

──この人と結婚してからずっと、私は心を亡くしていた。「──え?」「話ぐらい一回で聞けよ。本当に無能だな。他の男を探して、妊娠しろって言ってんの。俺がお前を抱くことは一生無い」私の夫、九条 篤志《あつし》は踏み潰した虫を見るような目で私を睨みつけた。白い結婚をして3年。篤志さんは私に触れるどころか、笑いかけることすら無かった。名前を呼ばれたことも無い。「九条の家の跡継ぎは、俺の子として戸籍に載ってりゃいい。しかし俺はお前を愛していない。よってお前を抱きたいとは思わない。お前には魅力なんてもの、全く無いからな」脱いだジャケットを投げ捨てるように私に手渡した。首元のネクタイを緩めながら彼は続けた。「この家に置いてやってるだけ、ありがたいと思えよ?そもそも俺は、お前なんかと結婚したくなかったんだからな?せめて赤ん坊ぐらい産んで俺の役に立て。勿論女はだめだ。男を産め。誰の子でも、表向き俺の子ってことにすればいい」「……私は、篤志さんの妻です!」勇気を出して声を振り絞った。しかし返ってきたのは見慣れた嘲笑だった。「妻ね。あのじいさんが余計な遺言をしたおかげで現在俺は不幸だよ。触れたくもない、愛してない女と無理矢理結婚させられたんだからな。お前が断って大人しく働いてりゃ良かったんだよ。俺の人生を壊したんだ。身体ぐらい差し出せよ」「私、篤志さんの子じゃないと、嫌です」「うるせえな。誰の子でもいいだろ。俺はお前に触れたくないの。お前がどっかの男の子どもを妊娠しとけば、母さんだって俺を認めてくれるんだよ」──私だって、篤志さんに恋をして結婚したわけではなかった。篤志さんに愛してもらえなくても、私が産む赤ちゃんの父親は篤志さんであって欲しい。妻とは、そういうものだから。篤志さんとの結婚話が出た当時、私の父である白石正隆《まさたか》が社長を務める白石精工株式会社の経営が傾いていた。私は実家にお金を送る為、東大に通いながら介護施設で働いていた。時給は家庭教師の方が高かった。でも土日は長時間働ける仕事がよかった。そのときに介護をしたのが当時の九条家当主である篤志さんのおじいさま、謙信さんだった。謙信さんは、私をすごく気に入ってくれた。歴史がお好きで、大河ドラマの話でよく盛り上がった。私が東大を卒業して研究所で働いて3年が経った頃だった。謙
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色を奪われた、わたし②

九条家に嫁いで三年になる。結婚する前、私は東都先端科学研究所で、医療機器などに使われる高機能素材の研究をしていた。毎日が、新しい発見の連続だった。仲間たちからは、将来を楽しみにされていた。「いつかノーベル賞を獲るんじゃないの?」とまで、言われたこともあった。研究は楽しいし、仲の良い職場だったし、最高だった。結婚が決まったとき、研究所での仕事は辞めるよう命じられた。九条家の嫁が外で働いているなど、言語道断。外聞が悪い。それが理由だった。屋敷の中では私は常に爪弾きだった。名門の出ではないからだ。九条家の嫁であるはずだったのに。家ではずっと、使用人たちと共に働くことを強いられていた。使用人たちでさえ、私を蔑んでいた。義母であるはずの佐和子大奥さま。義姉であるはずの玲香奥さま。このふたりが私を認めないとわかった途端、それまで恭しい態度で接してきていた使用人たちは手のひらを返した。使用人頭の小田切雅代が完璧な敬語で、でも無表情で仕事を振ってきたのが始まりだった。「奏様、奥様から本日の客間のお掃除を仰せつかっております」それ以来、使用人たちはこぞって私に仕事を押し付けるようになった。小田切さんとは違って、にやにやしながら。敬語も語尾を伸ばして崩しながら。特に女性の使用人たちからの当たりが強かった。結婚さえしなければ。私は今もきっと、あの楽しかった研究所で仲間たちと研究に没頭できただろう。そしていつか、愛し愛される結婚をして、子どもを産んで幸せに暮らしていた。……はずなのに。考えても仕方がない。けれど、涙は勝手にどんどん落ちてくる。皿洗いの最中でよかった。掃除をしているときに涙が溢れたときはひどかった。「奏さまあ?掃除中に更に汚すのやめてもらえませんかあ?」と大きな声で使用人に囲まれ、嘲笑されていた。洗い場の使用人たちも冷たいが、掃除担当の使用人よりは静かだ。「……奏さま。ここは、あとは私が」「いいの。沙織さん、また目立っちゃうよ」私より一歳下の使用人、藤原沙織さん。かつて沙織さんが高価な壺を割ったことにされ、辞めさせられそうになったことがあった。「私、見ていました。沙織さんが立っていた位置から壺に触れることは不可能です。防犯カメラを見てください」と証言した。使用人頭の小田切さんも目撃していたはずなのに、彼女は沙織さんを守らなか
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色を奪われた、わたし③

「君は本来なら」「ちょっと奏さん?麗愛が学校行くの、遅れるじゃない!いつまで待たせるつもり⁈一体あなた何様なの⁈」玄関の外から玲香奥さまが麗愛ちゃんを学校へ送るよう急かす金切り声が聞こえた。征臣さんは言葉の続きを言うことなく、継ぎ目のない、端正な黒の革靴に足を差し入れた。彼はそのまま玄関の扉を開けようと手を掛けた。待ってください。本来ならって。本来ならって、何ですか?「これを」振り返った征臣さんは品の良い深い青色のハンカチを差し出した。私がアイロンをしたものだ。何かあったかな?ちゃんとアイロンのりも使ったんだけど。粗相があったんだろうか。心臓の奥が鉛のように重くなる。不思議そうな顔をしたまま動かない私を見た彼は小さくため息をつくと、そのハンカチを私の左頬に当てた。「え……?」「拭きなさい。涙を見せると、またつけ込まれる」反射的にハンカチを受け取った。私が言葉に詰まっている間に、征臣さんは出ていった。私が泣いていたの、気づいてたんだ。九条の人たちは、私が泣いていても知らん顔だ。むしろ私の泣いている姿を見て嘲笑しているのが常だ。彼がくれたハンカチは、優しさは、気まぐれだ。今の弱い私を見かねただけだ。この九条家で、私の価値なんて無いも同然。ここにいてはいけない。私、九条家を出て自分の力で両親を助けられる力を、お金を手に入れなければ。私にできること。それは、東都先端科学研究所に戻ることだ。麗愛ちゃんと合流したとき、征臣さんは玲香奥さまと話していた。彼女は夫との会話は体裁を整えている感じがする。九条家の当主の機嫌を損ねたらまずいもんね。麗愛ちゃんはおとなしくしていた。「奏。さっさと車出しなさいよ」夫妻と別れたあと、麗愛ちゃんは運転席の背を蹴ろうとした。体格が小さく、ジュニアシートからは足が届かないから私にその衝撃は伝わらなかった。征臣さんがいるかいないかでがらりと態度が変わる。きっと学校でもそうなのだろう。学校に送り届けてから屋敷に戻るまでが、私の唯一の自由時間だった。帰路の途中で入ったカフェでスマホを取り出した。久しぶりにLINEを開くと研究所時代の後輩・真帆から少し前にメッセージが来ていた。『奏先輩、お久しぶりです!突然すみません。ずっと連絡しようか迷ってたんですけど……やっぱり送ります。先輩が抜けたあとも例の研究、続いてます。でも正直、かな
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