「七つの大罪……!」 ようやく、犯人の意図が、一つの形として見え始めた。 最初の同時多発爆破、優先席を我が物顔で占領し、弱者を見下し、自分だけが座る権利を持つかのように振る舞った者たち。 犯人は彼らも『傲慢(プライド)』と定義したいのだろ。 そして、巨大な富と権力を握り、自らの利益のために社会を食い物にしてきた天楽建設の社長は、『強欲(グリード)』として処刑された。 ここまでの流れを整理すれば、犯人がただ無差別に人を殺しているわけではないことは明らかだった。犯人は、この腐敗した現代社会そのものを『七つの大罪』になぞらえ、そこに当てはまると自ら判断した人間を選び出し、独自の歪んだ正義によって一人ずつ裁こうとしている。 猟奇犯とも言える。テロリストでもあり、連続して人を殺すという意味ではシリアルキラーでもある。 だが、どの言葉も奴の本質を完全には言い表していなかった。 犯人は、自分自身をこの社会に蔓延する罪を裁く『執行者』だと思い込んでいるのだ。 しかし、私の背筋を本当に凍らせたのは、犯人そのものの狂気ではなかった。 その思想に熱狂し、進んで飲み込まれていく大衆の存在だった。 特設サイトのコメント欄はSNSと連携されており、書き込みは秒間数百件という異常な速度で流れ続けていた。そこに群がる人間たちは、裁かれようとしている者の顔もろくに知らず、名前すら知らない者も多い。どんな人生を歩んできたのか、犯人が提示した罪状のどこまでが事実で、どこからが一方的な主張なのかを確かめようともしていなかった。 彼らが見ているのは、画面に表示された数行の罪状と、犯人によって恣意的に切り取られた経歴や肩書きだけだった。 それだけの情報を材料にして、誰を殺すべきなのかを選んでいる。 まるでスマートフォンのゲームで、次に消去するキャラクターでも選ぶような気軽さだった。『暴食の二世クン、親のすね齧って税金で高級フレンチ食うとか最高に豚じゃんww 早くこんがり丸焼きにしてくれw』『色欲ジジイか? 弱み握って枕強要とかマジで吐き気。 社会的抹殺じゃ足りねえわ、物理で消し飛ばせ! ポチッとなwww』『傲慢ポリス大本命キターーー! 動画でイキってたあの無能なオールバックだろ!? 税金ドロボウが特等席で木っ端微塵になるとか最高のエンタメじゃん! 俺たちの
Last Updated : 2026-10-26 Read more