覚えているのは、監督が『秒速5センチメートル』を作った当時のひとこと一つ一つが、個人的な小旅行の記憶みたいに語られていたことだ。
僕はインタビューで語られた「長距離の疎外感」を何度も思い出す。監督は自分の体験をそのまま映像化することにためらいがなく、脚本や絵コンテ、時には背景の写真撮影まで深く関わっていたと話していた。小さな制作チームで、機材も予算も限られていたけれど、逆にそれが自由度を生んだという点にとても共感した。
音楽について触れた場面も印象的で、穏やかだけれど空白を残すような選曲は、映像の静けさを壊さないよう意図されたものだと語っていた。個人的には、監督が表現した「届かない距離感」が、映像の粒子や光の扱いからじわじわ伝わってくるのが好きだ。『Voices of a Distant Star』から続く作家性がここではさらに研ぎ澄まされていると感じるよ。