そろそろ別れてくれ〜恋焦がれるエリート社長の三年間〜長いあいだ、高瀬玲にとって高瀬弘樹は唯一の「光」だった。
だがある日――
「藤原家の令嬢との婚約は取り消さない。お前は、このまま俺の愛人でいればいい」
弘樹の冷たい言葉を聞いた瞬間、その光は彼女を覆い尽くす影へと変わった。
その夜、彼女はすべてを諦めて家を出る。
周囲は口を揃えた。「高瀬家の庇護を失った玲なんて、すぐに行き詰まり、屈辱にまみれて戻ってくる」と。
けれど、世間の予想は鮮やかに裏切られる。
高瀬家と藤原家の婚礼の日。真っ白のドレスに身を包んだ玲が、藤原家を率いる秀一の腕を取り、堂々と姿を現したのだ。
その瞬間、彼女は「すべてを失った哀れな女」から、「高瀬夫婦の義姉」へと変貌を遂げる。
会場は騒然、誰もが息をのんだ。
弘樹は思った。玲は自分のために身を投げ出したのだと。
だから彼女を取り戻そうと手を伸ばす。
だが、その前に冷たい声が響き渡る。
「もう一歩でも近づいてみろ」