晴れた空に、夢は消えてゆく東都市にその名を轟かせる浅井家と松永家は、代々続く宿敵同士だ。
浅井家には、決して松永家の人間と縁組をしてはならない、という家訓まである。
それなのに、浅井家の跡継ぎである浅井龍一は、あろうことか松永家に残された一人娘、松永清良に恋をしてしまった。
彼女と結ばれるため、彼は相続権を放棄し、家法として三十発もの杖刑を受け、血を吐きながらも三日三晩、祠堂で跪き続けた。それでも龍一は、清良に向かって微笑んだのだ。
「心配すんな。誰にも俺たちが一緒になるのを止められないさ」
その後、浅井家はついに折れ、二人が駆け落ちすることを認めた。ただし、一つだけ条件を付けた。
それは、龍一が、彼らの選んだ嫁候補・水野美佐子との間に跡継ぎをもうけること。
松永家の人間には、浅井家の子供を産む資格などない、というわけだ。
その日から、龍一が清良に最も多くかけた言葉は、「待ってろ」だった。