通りを歩く度に目が行くのは古い焼き鳥屋の軒先だ。人混みをくぐって小さな路地に入ると、木製の看板や赤い提灯がずらりと並ぶあの視覚は、映画のワンカットそのものに感じられる。俺はロケ地巡りをするとき、まずはそうした〈雰囲気が残っている店〉を選ぶようにしている。内装が昭和のまま残る店は、古い映画の時間をそのまま閉じ込めているからだ。例えば『Shall we ダンス?』の都会的な距離感を思わせるような、静かなカウンターがある焼き鳥屋は最高だ。
『madoka no mori』の舞台となった箱根には、作品の雰囲気を感じられる素敵なスポットがいくつもあります。まず外せないのが、主人公たちがよく訪れたという『箱根美術館』の苔庭です。緑濃いモスが敷き詰められた庭園は、作中でも印象的なシーンの背景として使われていて、実際に足を運ぶとその神秘的な空気に包まれます。季節ごとに表情を変える苔の様子は、ファンならずとも見応えがあります。