過去を忘るること能わずかつて、愛する女性のために二年もの間偽装死していた婚約者――一路時也(いちろ ときや)が戻ってきた。
そして、彼が真っ先にしたことは、婚約者の松竹愛禾里(まつたけ あかり)へのプロポーズだった。
「愛禾里、この二年間、待たせてすまなかった。あの時は……柚魚があまりにも可哀想で、俺がいなければ生きていけなかったんだ。仕方なく……彼女と一緒離れるしかなかった。
でも、もう大丈夫だ。お前は……柚魚を受け入れてくれれば、今でもお前を妻に迎え入れたい」
時也が指輪を差し出しても、愛禾里は沈黙を守り続けた。
二年という歳月は、あまりにも多くのものを変えてしまっていた――例えば、彼女は今や結婚し、二人の子の母となっていたのだ。