幼馴染の花嫁奪いは、ただの賭け私の結婚式当日、幼なじみの山下拓哉(やました たくや)が大勢の仲間を引き連れて式場の扉を蹴破り、花嫁の私を奪いに来た。
彼は私を娶り、私を連れて駆け落ちすると言い放った。
ところが式場を出て間もなく、彼はあっさりと私の手を放し、気だるげに笑った。
「ほらな、また俺の勝ちだ。百回目、賭けに負けた奴は金を払えよ」
そう言って振り返り、私を見やる。
「ただの冗談だよ。本気にしたんじゃないだろ?さあ、中に戻って結婚式を続ければいい」
周りはみな、私が十年も拓哉の言いなりで、彼のためなら何でもすると嘲った。
でも、彼らも拓哉も知らなかった。この花嫁奪いは、私の結婚式の余興のひとつにすぎなかったのだ。