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跡継ぎのない親王様に嫁いだら、幼馴染は絶望に堕ちる

跡継ぎのない親王様に嫁いだら、幼馴染は絶望に堕ちる

By:  砂糖菓子Completed
Language: Japanese
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姉が認知症になった後、原田邸との縁談は私に回ってきた。 憧れの少年に嫁げると胸を高鳴らせていたが、祝言の夜、彼は寝所に現れなかった。花嫁をひとり置き去りにするなど前代未聞の恥辱。翌日には噂が広まり、私はみんなの笑いものとなった。 やがて私は、姉が抱える秘密に気が付き、彼女に帯で首を絞められ、井戸へと突き落とされ、そのまま命を落とした。 次に目を開けたとき、私はまだ縁談を取り交わした日にいた。 原田隼人(はらだ はやと)は、認知症を患った姉を抱きかかえ、その指先にそっと口づけた。 「蛍、どんな姿になっても、俺の最愛の女性だ」 私は迷わず決心し、姉と隼人を後にして、跡継ぎを持つことができない親王の縁談を受け入れた。 今度こそ、皆の前で姉の秘密を暴き、二人に幸せな未来を歩ませはしないと、そう決意した。

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Chapter 1

第1話

姉が認知症になった後、原田邸との縁談は私に回ってきた。

憧れの少年に嫁げると胸を高鳴らせていたが、祝言の夜、彼は寝所に現れなかった。花嫁をひとり置き去りにするなど前代未聞の恥辱。翌日には噂が広まり、私はみんなの笑いものとなった。

やがて私は、姉が抱える秘密に気づいてしまい、彼女に帯で首を絞められ、井戸へと突き落とされ、そのまま命を落とした。

次に目を開けたとき、私はまだ縁談を取り交わした日にいた。

原田隼人(はらだ はやと)は、認知症を患った姉を抱きかかえ、その指先にそっと口づけた。

「蛍、どんな姿になっても、俺の最愛の女性だ」

私は迷わず決心し、姉と隼人を後にして、跡継ぎを持つことができない親王の縁談を受け入れた。

今度こそ、皆の前で姉の秘密を暴き、二人に幸せな未来を歩ませはしないと、そう決意した。

……

親王邸の人々を見送った後、母は慌てた顔で私を見た。

「藤井親王様は子を残すことができないの。これまで既に三人の正妻を続けて亡くしているのよ」

父は眉をひそめて言った。「莉子、恐れることはない。たとえ親王とはいえ、無理やり君を嫁がせる事はないだろう。俺が直接陛下に申し入れて、この縁談を取り消してもらおう」

そう言って、父は立ち上がり、外へ歩き出そうとした。

私は父を見て、落ち着いた声で言った。「藤井様は、私が結婚すれば、名医にお姉さんの治療をさせてくれると約束してくれた」

父の足は止まり、すぐに態度を変えた。

「親王妃になれるなんて、どれだけの人が望んでも叶わない幸せなんだ。今日から、大人しく結婚の準備をするように」

母はそばで目を潤ませながら言った。「でも、藤井様は子をもうけられず、これまで何人もの正妻も若くして亡くしているのは、王都では誰もが知っていることよ。莉子が嫁ぐということは、まるで呪われた縁に飛び込むようなものではないの?」

父は冷ややかな顔で、怒鳴った。「そんなのは、ただの噂話だ。女のくせに何がわかる!」

そう言うと、父は袖を払って出て行った。

父の変わり身の早さには、もう慣れていた。

父は私にも愛情を注いでくれてはいたのだろう。しかし、福田蛍(ふくだ ほたる)への愛情の百分の一にも満たない。

蛍の母は父の最愛の人で、二人が最も愛し合っていた年に亡くなった。

私の母は父の再婚相手だ。だから父は、母が蛍を虐待するのではないかと常に恐れ、良いものは何でも蛍に与えようとした。

幼い頃から、蛍と私が揉めるたび、父は必ずと言っていいほど蛍の味方をした。

私は母の涙を拭い、慰めるように言った。「お母さん、心配しないで。藤井様に嫁いで親王妃になるのだから、むしろ喜んでくれるべきよ」

「でも……」

「大丈夫、心配しないで」

名医の腕は確かで、たった2日で蛍は正気に戻った。

父は喜び、盛大な宴を開いて皆にこの朗報を伝えようとした。

父は私を見て、指示した。「莉子、原田邸に行って、今晩の宴の招待状を渡してくれ」

炎天下の中、私は一人で原田邸へ行き、門口で使用人に伝言を頼んだ。

しばらくすると、隼人が邸から出てきて、開口一番私を叱責した。「莉子、俺が結婚を承諾したからといって、好き勝手にまとわりつくな!」

彼の嫌悪に満ちた顔を見つめ、私は落ち着いた声で告げた。「お姉さんの認知症が治ったの、お父さんは今晩、祝宴を開く予定よ」

隼人の目に、驚きが浮かんだ。「蛍が、本当に正気に戻ったのか?」

私は青白い顔で頷いた。

隼人はすぐに満面の笑みを浮かべ、私の手から招待状を受け取った。「必ず行く」

今になって、自分がいかに愚かだったか思い知った。隼人が私と蛍に対して、こんなにも態度が違うことに気づかなかったなんて。
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