十年の恋を捨て、億万長者の妻に佐藤拓海(さとう たくみ)と付き合って十年。ようやく彼からプロポーズされた。
サプライズだと言って、彼はわざわざ私、浅見柚希(あさみ ゆき)の目をアイマスクで覆った。
期待に胸を膨らませ、部屋へ一歩踏み入れた瞬間――頭から冷や水を浴びせられた。
「柚希、いい加減目を覚ませよ。
俺がお前なんかと結婚するわけないだろ!」
震える手でアイマスクを外すと、そこにはソファにふんぞり返り、上機嫌で酒を飲む拓海の姿があった。
「ほら見ろ、言った通り来た。賭けに負けた奴は今の酒代、自腹で払えよ!」
呆然と立ち尽くす私に、拓海はさらに追い打ちをかける。
「柚希、お前ももういい歳なんだから、さっさと誰か見つけて嫁に行けよ。このままだと孤独死確定だぞ?」
その瞬間、周りの取り巻きたちはどっと沸き返り、私を蔑むような視線で射抜いた。
けれど。彼の言葉通りに他の男へ嫁いだとき、今さら何を狂おしく後悔し始めたのかしら?