愛と恨みのくじ引き長らく家族と離れ離れになっていた竹村圭太(たけむら けいた)が家に戻ってきてから、我が家の全てはくじ引きで決まることになった。
誰の好きな料理を作るかも、両親のキスやハグも、くじ引きで決める。
毎回、養子である僕が先に引く。それで僕はいつもハズレくじ。だから当たりくじは、当然のように圭太のものになる。彼は何もしなくても、両親の愛情を手に入れられた。
不公平だと思い、泣きそうになるたびに、母は厳しい口調で私を叱りつけた。
「あなたが悲しまないように、公平にしたいからって、わざわざこのくじ引き箱を買ったんでしょ。
欲しいものは自分の力で決めるの。私たち親は一切口出ししない。あなたが当たりくじを引けなかったのは、ただ単に運が悪かっただけよ」
それから僕は毎日せっせとくじ引きの練習をした。そうすれば両親の愛情を得られるかもしれないと思った。
でも十年間、僕は一度も当たりくじを引いたことがなかった。
僕の誕生日の日に、本当は家族にそばにいてほしかった。なのに、圭太は母に遊園地へ連れて行ってとせがんだ。
母はまた僕たちにくじ引きで決めさせようとした。
僕はこっそり、当たりくじを一枚、ペンで書いて母に差し出した。二人を引き留めたかったのだ。
すると母は急に僕の頬を平手打ちし、「ズルをしたでしょ!」と怒鳴りつけ、怒ったまま圭太を連れて家を出て行った。
僕は倒れ、頭を床に強く打ちつけた。
ごめんなさい、お母さん。
次こそは必ず、当たりくじを引けるように頑張るから。