遠回りの先で、やっと会えた親友の兄と、こっそり付き合って半年――
もちろん、彼女には絶対ヒミツ。ところが、クリスマスに「一緒にシングル限定イベント行こうよ!」と誘われ、断りきれず参加した私。
その夜、偶然目にしたのは……彼女の兄・宮路和也(みやじ かずや)が、花火の下で見知らぬ女の子と指を絡め、甘くキスを交わしている場面だった。
「やった!うちの兄貴、ついに憧れの人を落としたんだ!」
無邪気にはしゃぐ彼女に手を引かれ、私はどうしようもない気持ちを抱えたまま、彼の元へ向かう。
彼は気まずそうに鼻をかきながら、こう紹介した。
「えっと……こっちは妹で、隣はその友達……まあ、ほぼ妹みたいなもんだ」
私はただ、静かに笑った。
――手も繋いだし、キスもした。でも、私はまだ「妹」らしい。