家族へ遺した、最期の贈り物私は誕生日の当日に亡くなった。
けれど、私の両親も夫の栗野竜也(くりの たつや)も、そのことにはまったく気づいていない。
彼らは、私の双子の妹である鮎沢明里(あゆさわ あかり)の誕生日会を心を込めて準備している。
明里が大勢の人に囲まれてドレスを選んでいるその間、私は手足を縛られたまま地下室に放り込まれている。
力の限りを振り絞り、私は折れかけた指でようやく【9395】の四桁の数字を打ち込んだ。
これは、かつて私と竜也が決めた、危険に遭遇した際の合図だ。
まさか、本当に使う日が来るとは思いもしなかった。
それなのに、竜也は信じてくれなかった。
彼は冷たく返信してきた――
【樹里、新しい服を買いに連れて行かなかったくらいで、そんなに大げさに芝居をしてるのか?
去年のドレスだってまだ着られるだろう。あとで誕生日会で会おう。騒ぐな】
でも彼は知らない。私のドレスが、ずっと前に明里によって切り裂かれていたことを。
そして、電話を切った直後に、私がすでに息を引き取っていたことも。
だから、あの誕生日会には私は最後まで姿を現さなかった。
けれど、私が事前に明里のために用意していた誕生日プレゼントを見て、その場にいた全員が――狂った。