映画史には髪の毛を題材にした作品が意外と多く、中でも『
ハゲタカ』というタイトルを聞いたことがあるだろうか。これは単なるハゲを扱った作品ではなく、中年男性のアイデンティティ危機をユーモアたっぷりに描いたヒューマンドラマだ。
主人公が突然の円形脱毛症に悩むところから物語は始まり、鏡を見るたびに変化する自己認識が丁寧に表現されている。特に印象的なのは、帽子コレクションが増えるにつれて主人公の性格まで変わっていく描写で、外見と内面の関係を考えさせられる。
監督はこの繊細なテーマを、深刻になりすぎず、かといって軽薄にもならない絶妙なバランスで演出している。最後のシーンで主人公が帽子を脱ぐ決意をする瞬間は、どんなヘアスタイルでも自分らしく生きられるという普遍的なメッセージが伝わってくる。